とりあえず、「進むべき道が開けた」と思った。向こうに行けばなんとかなるだろう。風俗というハードルはあるにせよ、なぜか気分が晴れてきた。

 ここで、一応説明しておくが「ワーキングホリデー」とは、日本が協定を結んだ国で異文化交流や相互理解を促進するために生まれた海外留学制度。ビザを申請できるのは18歳から30歳までとなっている。

 カナダなら、ワーキングホリデーの期間は1年で、基本的に就労制限はない。だからどんな仕事に就こうが、いくら稼ごうが自由なのである。ただしこれは当然のことだが、風俗業、ましてや売春をするために発行されるビザではない。そうした風俗関連の仕事は固く禁じられており、ビザ申請書の約款にもその旨が明記されている。見つかれば強制送還という重いペナルティを受ける。

「見つかったときはそのときだ」

 ミユはさっそく先輩の教えのまま、ビザをスマホで申請して取得。ビザ代が約4万円というのも懐が心もとない彼女には幸運だった。さっそくアパートを解約し、先輩に紹介された日本人エージェントに言われるがままスーツケースひとつで渡航した。

中国人男と韓国人女が
バンクーバーで待っていた

 バンクーバーの空港に降りたが、どこに行くのかなど何も聞かされていなかった。

 しかし、事前に指示されたのは、「ウィーチャット」という中国版のLINEを起動することだった。すると到着口で中国人の男が迎えに来ていることがわかった。欧米人でごった返す到着口に無表情の中国人が佇んでいた。携帯を掲げるとすぐに見つけたようで、荷物とともにクルマに乗せられた。英語で話しかけてみたが、理解できないのか、あえてそうしているのか全くの無言だった。

 男のクルマが向かったのはバンクーバーの中心地のそれほど大きくないアパートだった。出迎えた別の男は英語が話せる中国系で、男いわく、中国人のボスがオーナーで、アパートの10部屋以上がプレイルームとして使われ、すでに日本人女性も数人いるという。

 案内された部屋には韓国人の女がいた。日本でいう1LDKの部屋。リビングとベッドルームがあるが、双方にシャワールームがあった。