録音技術が進んだ21世紀
音鉄ファンも一気に進化

 21世紀に入ると、インターネットの大衆化で様相は再び変化する。録音した音源をウェブサイトにアップする同好の士が増え、鉄道音についての情報交換も盛んになった。同時に、駅での列車接近合図や発車合図にメロディが用いられることが増え、鉄道の音に対する社会的な関心も高まっていった。

 昨今はリニアPCMレコーダーが普及しており、CDと同音質、もしくはそれ以上のクオリティで音を記録できるようになっている。サイズもコンパクトで、誰でも気軽に集音活動が始められるようになった。内蔵マイクの質も向上し、もはや外付けのマイクがなくても、機材一つで音鉄趣味は始められる。

 ここ数年は録音機材の高性能化と小型化、低価格化がより進み、さらに、デジタルカメラやビデオカメラ、そして、携帯電話やスマートフォンでも高音質の録音ができるようになっている。そういった流れもあり、音を愛するレイルファンは確実に増えている。

 音鉄趣味を楽しんでいるなかで、様々な“発見”に出会うことがある。例えば、地方都市を巡っていると、車内放送や駅の構内放送のなかにお国訛りや地域特有の表現を耳にする機会がある。地域による微妙なアクセントの違い程度なら、それなりの頻度で耳にできるはずだ。いくつかの例をあげてみよう。

 よく知られているところで言えば、「扉」や「ボタン」のことを東日本では平音で発音するが、西日本では、それぞれ語頭の「と」「ボ」にアクセントがある。同じような例で、「車掌」も西日本ではアクセントが前にある。また、地域差ではないが、ドアを閉める際には、「ドアが閉まります」か、「ドアを閉めます」かなど、表現においても違いがあったりする。

「3両編成」と「3両つなぎ」
言葉の違いに異文化を感じる

 お国訛りと言えば、乗客の会話にそれが強く、聞き取れなかったというケースは結構あるもの。筆者の経験で言えば、東北と九州ではそういったケースに出くわすことが多い。これはまさに音を通じた“異文化体験”と言ってもいいものである。