これに対してゼレンスキー氏は、

“Have you ever been to Ukraine, that you say what problems we have? Come once."
「あなたはウクライナに来たことがありますか?それなら我々が抱える問題を言えるでしょう。一度来て」

と発言しました。米国側の直接関与を期待するものですが、相手の努力不足や情報が足りないことを指摘し、その後に命令調の表現が含まれていたので、外交的には適切ではなかったと言えるでしょう。

 より洗練された表現としては、

“I would encourage you to visit Ukraine and see the situation firsthand.”
「ぜひウクライナを訪れて、現状を直接見ていただきたいです」

と話せば、相手に対する敬意を示しつつ、同じ趣旨の発言を行うことができます。

 そして終盤、ゼレンスキー氏がトランプ氏のはらわたを煮えくり返らせたのが下記の発言です。

“First of all, during the war, everybody has problems, even you. But you have nice ocean and don't feel now. But you will feel it in the future. God bless --”
「戦時には全ての国が問題を抱えます。米国もでしょう。(米国と欧州との間には)素晴らしい海があり、今は感じないかもしれないが、いずれ、あなたも感じることになるでしょう。神のご加護があらんことを(米国にも戦争が起きませんように)」

 これは、トランプ氏が数日前にSNSで投稿した表現の一部を、いわばモノマネしたものでした。そして、米国だって将来的には戦争に巻き込まれるかもしれないと指摘しました。トランプ氏からすると、皮肉というか生意気に聞こえたでしょう。しかも、最後の

“you will feel it in the future. God bless --”

という表現は、脅し文句のようでした。言い換え方としては例えば、

“While the impact may not be immediate for the U.S., we believe it's a shared responsibility to uphold security.”
「米国にとっては直ちに影響があるわけではないかもしれませんが、私たちは、安全保障を守ることは共通の責任だと考えています。」

と言えば、同じ趣旨を伝えながら、より外交的に適切な表現だったでしょう。