災害のときなどは、警報が出たらすぐに動かないとたいへんなことになってしまいます。明らかにからだの不調があるときには、できるだけ早く医療機関を受診する必要があります。
しかし、現実以上に危険を大きく考えてしまっていることもあります。そうすると必要以上に強い不安を感じてしまいます。
たとえば、人前で発表するとき、失敗してみんなから笑われるのではないかと考えると、心配になります。緊張して、思うように声が出なくなったりもします。
その結果、発表の場に行くのを避けることになると、「やはりうまくいかなかった」と考えて、さらに自信を失います。次に同じような場に行けなくなって、ますます自信をなくすという悪循環が生まれてきます。
失敗するのが怖くてとった行動のために、自ら「うまくいかなかった」と考える状況をつくり出して、自分を追い込むのです。
“腹が立つ”は当然の反応だが
相手に怒りをぶつけるのは要注意
怒りは、自分の領域に不当に侵入されたという認識から生まれてきます。そうした相手の行動に対して「ひどい」と考えると怒りが湧いてきます。
ひどいことをされたときに腹が立つのは当然の反応です。怒りのエネルギーは、自分を守るこころの力になります。
しかし、現実を確認しないまま一方的に相手に怒りをぶつけてしまうのは好ましくありません。怒りは、相手の怒りを引き出します。
相手が「このくらいのことで怒るなんてひどい」と考えると、怒りが怒りを引き起こして、問題が不必要に拡大していくこともあります。
ここまで、3大ネガティブ感情を例にあげて、感情の背景には特徴的な考えや判断があり、それに対応する行動が生まれてくることを紹介しました。
多くの場合はその判断がおおむね的確で、感情の動きをヒントに適切な行動がとれています。しかし、その考えや判断が、現実とは不釣り合いに極端になりすぎると、つらくなります。不適切な行動をとるようにもなります。
つらい気もちや不適切な行動が続くときには、1度立ち止まってそのときに頭に浮かんでいる考えやイメージに無理がないか、検討してみるようにしましょう。