「講和の公開・秘密外交の廃止」は、ウッドロー・ウィルソン元米大統領が示した14カ条の平和原則の第1条だ。これは、国際合意は国民が見守ることのできる透明性のある外交によって生み出されるべきだ、という意味だった。先週、米国のドナルド・トランプ大統領およびJD・バンス副大統領とウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が繰り広げた非難と怒りの応酬は、ウィルソン式の交渉モデルを限界まで試した。端役から主役に変わったバンス氏を除いては、事の成り行きに満足した人は誰もいなかった。ゼレンスキー氏にとってこの会談は大失敗だった。彼は、トランプ氏との結束を示せば、ウクライナ国民に将来についての安心感を与え、公正な和平の実現に向けてロシアへの圧力を強められると期待してワシントンにやってきた。ところが、ウクライナ政府とワシントンの後援者たちとの間の大きな亀裂をさらけ出し、トランプ氏との関係がずたずたになったように見える中でワシントンを離れた。
【オピニオン】「強いカード」を持たないウクライナ
トランプ氏の和平の枠組みを拒否すれば、より良いディールは望み薄
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