若手アナ時代の草野仁の緊張を一瞬で解いた、巨人軍の名将・川上哲治の「すごいひと言」名将・川上哲治監督 Photo:SANKEI

『世界ふしぎ発見!』の司会や様々なスポーツ中継でも知られる草野仁氏。彼は、長いTVキャスター人生のなかで、実業家・堀江貴文氏や、名将・川上哲治監督など、多くの著名人にインタビューを行ってきた。そうした経験を通して、相手に先入観を持たず、素直な気持ちで向き合うことの重要性を実感したという。草野氏が考える「インタビューの本質」とは何か。また、部下への効果的なアドバイス方法や、理想の上司像についても、具体的なエピソードを交えて紹介する。※本稿は、草野仁『「伝える」極意 思いを言葉にする30の方法』(SBクリエイティブ)の一部を抜粋・編集したものです。

相手を色づけしない信念
インタビューの本質とは

 相手と向きあう前には、一体どんな人なのか、あれこれと予想したくなるかもしれません。

 事前情報から「すごく立派な人のようだ」とか、反対に「気難しい人らしい」などと、期待や想像を膨らませるときもあるでしょう。無理もないことです。

 ですが、私は長年この仕事をしてきて、事前に相手に勝手な色づけをしてはいけないという信念をもっています。

 インタビューをする側は、その人の実像というものを、そのときに交わす会話を通じて探り出すのが本当だと思うのです。

 自分の頭の中に描いていた相手のイメージに、目の前の人を当てはめていくのではなく、現場で本人から実際に聞いたこと、交わした言葉から実像を探り出していく、それがインタビューの本質ではないかと考えます。

 事実、会ってみると、事前の評価とは違って、「こんな人だったのか」と認識を新たにする経験を何度もしてきました。

 その中の1人に、堀江貴文さんがいます。