京都の花見は「御苑」から始まる

京都御苑(上京区)内、近衛邸跡の糸桜京都御苑(上京区)内、近衞邸跡の糸桜

 第41回で苑内の梅林をご紹介した京都御苑は、早咲きの桜の推しスポットでもあります。百花繚乱、無料で楽しめる花名所として、京都御苑の右に出るものはないでしょう。

 御苑の梅林は半分くらいが見頃を迎えています。つい先日、苑内の南西に位置する宗像(むなかた)神社の北側や出水(でみず)の小川の近くでは、ジュウガツザクラ(十月桜)も見頃を迎えていました。宗像神社のご祭神である宗像大神は、交通をはじめ、世の道や人の道を守護する神として古来信仰を集めてきました。旅の道中の安全祈願や、新年度から新しい道に進まれる方は、立ち寄って参拝しておくといいでしょう。

 苑内の北西には、地元のみならず観光に訪れた皆さんが必ずと言っていいほど訪れる有名な「近衞邸跡の糸桜」があります。五摂家の筆頭であった近衞邸の跡地には、約60本の一重のシダレザクラ、通称「糸桜」が植えられており、江戸時代から都に春の訪れを告げる桜として愛されてきました。開花宣言の後、4月上旬までが例年の見頃となります。

 この糸桜の下に立って仰ぎ見れば、視界が降り注ぐ桜で満ち満ちて、爛漫の春が感じられそうです。大人気で多くの人が花見に訪れますが、幸いなことに24時間開かれていますので、早起きして、できるだけ朝早めの現地到着を目指せば、比較的ゆったりと花をめでることができるでしょう。タイミングが合えば、苑内で梅と桜が同日に楽しめるかも!

 近衞邸跡休憩所内では、3年前オープンの老舗和菓子店が営むカフェ「SASAYAIORI+京都御苑」も見逃せません。木の温もりあふれる店内で、桜を眺めながら抹茶パフェなど和の甘味が楽しめますよ。