嵯峨野にある梅と桜の名所へ

京都御苑と北野天満宮&平野神社に加えて、もう1カ所ご紹介したい梅と早咲きの桜をハシゴするのに適した名所は、嵯峨野にある大覚寺でしょうか。第22回では観月名所としても取り上げています。
入場者数が10万人を超えた東京国立博物館「開創1150年記念・特別展『旧嵯峨御所 大覚寺―百花繚乱 御所ゆかりの絵画―』」では、障壁画100面が公開されたことで話題となりました。16日にこの展覧会が終わり次第、宝物の数々も大覚寺に戻ってくることでしょう。来たる2026年に開創1150年のメモリアルイヤーを迎えます。今年から注目しておきたいスポットです。
大覚寺の宸殿前では、「右近の橘」と対をなす「左近の桜」ではなく、中国・唐の時代の様式にならった「左近の梅」が見られます。また、第52代嵯峨天皇の離宮造営に合わせて造られた大沢池(国指定名勝)の北側には、あまり知られていませんが、植栽された約150本の梅林もあるのです。
例年3月上旬から中旬に見頃を迎える大覚寺の梅ですが、今年はまだ咲き始め。朱塗りの心経宝塔をアクセントにした、雅な風景が目の前に広がります。周囲約1kmの池の畔は、約500本のソメイヨシノやヤマザクラに縁取られます。桜の見頃は、例年3月下旬から4月上旬です。梅に合わせて、少し気の早い桜花に出会えるかもしれません。
大覚寺の桜がまだ咲いていなければ、そこから南東へ約2km離れた車折(くるまざき)神社へ足を延ばしてみてはいかがでしょう。
カワヅザクラ(河津桜)、カンヒザクラ(寒緋桜)、日本画家の冨田溪仙が献木したシダレザクラ「渓仙桜」といった早咲きから遅咲きまで15種類、40本の桜が咲き継ぎます。境内には、アーティストや俳優ら著名人が訪れることで有名な芸能神社のほか、ご祭神の清原頼業公と同族である清少納言をまつる「清少納言社」も。桜の花をあしらった可憐な「才色兼備守」もおすすめです。