半導体の売上高15兆円を
2030年に達成するのは至難の業

 一方、半導体の世界の売上高に占める日本のシェアは、1981年は70%だったが、1986年の第1次日米半導体協定後は右肩下がりとなって1988年に50%、2019年には10%に落ち込み、以後も減少が続くと予測されていた。

 このため経済産業省は、2021年にまとめた「半導体・デジタル産業戦略」で「半導体はデジタル社会を支える重要基盤であり、安全保障にも直結する死活的に重要な戦略技術」と位置付け、国の関与を開始した。

 そして2023年4月に公表した同戦略の改定案では、国内で生産した半導体の売上高を2030年に現在の3倍の15兆円に引き上げるという計画を示し、そのための拠点整備に2年で約2兆円の予算を投じる方針を打ち出した。

 しかし、「2030年に15兆円」の目標を達成するのは至難の業だろう。なぜなら、半導体産業政策で30年以上も眠っていた経産省に、今さらまともな舵取りができるとは思えないからだ。

 たとえば、ラピダスが会長に迎えた東京エレクトロン前社長の東哲郎氏は「最先端に集中する」「最初は2nmに取り組み、その先に進む」(産経新聞/2023年5月7日付)と述べているが、いま日本メーカーが国内の工場で作れるのは40nmにとどまるので、2nmは日本の半導体産業にとって未踏の領域であり、計画通りに進むかどうかわからない。

 東京エレクトロンを世界有数の半導体製造装置メーカーに育て上げた東氏を批判するつもりは毛頭ないが、あえて苦言を呈すれば、たとえ2nmが量産できたとしても「それを誰が買ってくれるのか?」という大きな疑問がある。

 いま、回路線幅nmの世界ではTSMCと韓国のサムスン電子が圧倒的に強く、どちらも2025年に2nmの生産を予定している。つまり、ラピダスが2027年から2nmの量産を始めても、TSMCとサムスン電子の後塵を拝してしまうのだ。その時、顧客がいるのか、ということである。