新聞の見出し(景気)写真はイメージです Photo:PIXTA

長年、経済大国のひとつに数えられていた日本。しかし現在は、世界的に見ても“衰退”の一途を辿っているという。国際的経営コンサルタントの大前研一氏が、日本が置かれている現状について解説する。※本稿は、大前研一『新版 第4の波 AI・スマホ革命の本質』(小学館)の一部を抜粋・編集したものです。

「世界2位の経済大国」が
ついに4位に転落

 日本経済と日本企業が今どういう状況にあるのかについて概観しておきたい。

 1968年にGDP(国内総生産)で当時の西ドイツを抜いて以来、40年以上にわたって「世界2位の経済大国」だった日本は、2010年に中国に追い抜かれて3位となった。さらに当時、続くドイツとの差は2兆ドル以上あったが、ついに2023年に逆転。このままでは「世界4位」の称号も、遠からず外れてしまうだろう。それどころか、2050年には中国やアメリカの8分の1、世界9位に後退するという予測もある。

 1人あたりGDPはもっと顕著だ。内閣府の試算では2022年度の1人あたりGDPはOECD(経済協力開発機構)加盟38カ国中で21位。IMF(国際通貨基金)の数字でも購買力平価ベースですでに2018年に韓国に追い抜かれ、それ以降もその差が年々拡大している。

 だが、日本経済の凋落ぶりはそれだけではない。

企業の生産性も
教育分野も“地盤沈下”

 前著『経済参謀』(小学館)でも指摘したように、日本の賃金は30年以上にわたって横ばい状態で、日本の平均年収は、韓国より約40万円、OECD平均より約120万円、アメリカより約350万円も低くなってしまっている。その傾向は、新型コロナウイルス禍に見舞われている2020年以降さらに拡大している。企業は、労働生産性が高まらなければ、賃上げできない。

 30年以上も給料が上がっていないということは、日本企業の生産性も上がっていないということだ。

 日本企業の低迷ぶりについては、象徴的なのはユニコーン企業(時価総額が10億ドル以上と評価される未上場のベンチャー企業)の数だろう(2024年5月時点)。アメリカが676社、2位の中国が164社とケタ違いに多いのはともかくとして、3位は近年急成長しているインドの71社、4位イギリス(54社)、5位ドイツ(31社)と続いている。その中で、日本はわずか8社で14位となっている。アジアでも、10位シンガポール(16社)や11位韓国(14社)に及ばない。