慶應SFCのAO入試「たった3週間で合格できる子」と「スポーツで全国レベルなのに不合格になる子」の決定的な違いPhoto:PIXTA

大学入試といえば学力で合否が決まる一般入試のイメージが根強いものの、実は今、「総合型選抜」(旧AO入試)や学校推薦型選抜が全体の半数以上を占めている。しかし、「制度が複雑でよくわからない」「どんな準備をすればいいの?」と戸惑う子や保護者、先生は少なくない。総合型選抜で合格するための基本とノウハウとは。数多くの総合型選抜合格者を指導してきた河合雄介さんに話を聞いた。(Alternative Academy™代表・講師 河合雄介/教育エディター 江口祐子)

高3春からでもAO入試は間に合う?

――ズバリ、この春に高校3年生でも総合型選抜の準備は間に合いますか?

 どこからの準備を指すかによって違います。昨年私が指導して、SFC(慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス)の総合型選抜に合格した生徒は、7月下旬に初めて会いました。そこから約1カ月、さまざまな書類を戦略的に準備し、9月2日に出願しました。

 これはあくまで志望理由につながる「活動の実績」があることが前提です。ゼロから実績を作るなら高2の冬ぐらいからはスタートしたいところですが、実績がすでにある生徒であれば、2~3週間で書類を仕上げて合格したケースもあります。

大学入試制度は名称変更があり混乱しやすい。まず、2021年度入試から「大学入学共通テスト」が始まった。これは親世代では「大学入試センター試験」と呼ばれていたもので、「一般選抜」に含まれる。AO入試は「総合型選抜」、推薦入試は「学校推薦選抜」と名称が変わった。総合型と学校推薦型は、年内に受験が終わることが多いので「年内入試」とも呼ばれる。文部科学省が2024年に発表したデータによると、一般選抜 48.9%、総合型選抜 20.6%、学校推薦型選抜 30.5%。総合型選抜、学校推薦型選抜の比重は年々増えている。

――活動の実績とは何でしょうか?

 よく、「コンテストなどの入賞経験がないので総合型は無理でしょうか?」といった相談を受けます。そこが皆さん勘違いしているところで、大学側は決して輝かしい実績を持つ子を求めているわけではありません。

 私が直接指導した子ではないのですが、あるスポーツで素晴らしい実績があって、プロからもオファーが来た高校生がいました。その子は慶應での大学スポーツ活動にも興味がありSFCに出願したのですが、書類選考で不合格でした。