しかし、先ほどもお話ししましたが、休憩せずにぶっ続けで仕事をしていると、気づかぬうちに疲弊してきてしまいます。

 そこで、どんなに集中していても強制的に90分で休憩を入れるようにします。大学の授業が90分制なのも、そこからきているという説があります。

「作業の途中で手を休めるなんて、落ち着かないのでは?しっかり休めない気が……」と思うかもしれませんが、大事なのは、手を休めることではなく、脳を休めること。脳のスイッチのオンオフをしっかり切り替えることが大事です。

 また、時間で管理することによって「締め切り効果」が発生し、この時間までに仕事を終わらせようという気持ちになります。そして、何より仕事の能率をキープできます。

 むしろ「仕事を完全に終わらすのではなく、中途半端な状態で休憩に入る」ことで再開がしやすくなるといえるでしょう。

 心理学者のブリューマ・ゼイガルニクは、のちに「ツァイガルニク効果」として有名な事象を実験により発見しました。被験者に20の異なるタスクを与え、そのうち半数には中断させ、残りの半数には最後までやってもらったところ、完了したタスクより未完成のタスクのほうが記憶に残りやすいことが証明されたのです。

 タスクが中断されると、完成したいという欲求が満たされず、ある種の緊張状態が生まれ、それが執着になり、やる気につながります。うまく休憩を活用しましょう。

Point
定期的に手を止め、脳を休めることを最優先とする

なかなか自分の仕事に
着手できないリーダー

 以前、リーダーばかりが集まった場で、「いわゆる“自分の仕事”に、定時までの勤務時間で、どれだけ携わることができていますか?」と聞いたことがあります。

「半分くらいですかね……。5割強でしょうか」

 と、1人のリーダーが答えてくれました。

 すると、そこにいた10人弱くらいのリーダー職の方々が、

「え? すごいですね」

 と反応しました。そして驚いたことに、こう続けたのです。

「それは、うらやましい……」