詳しく聞いてみると、他のリーダーの方は1日の勤務時間のうち自分が担当している仕事ができるのは、よくて2割ほど、1割にも満たない日もあるというのです。中には、就業時間後、他の社員たちが帰ってからようやく自分の担当仕事に手を付けることができるという「ゼロ割」のリーダーまでいました。

 リーダーになると、部下や後輩の管理やサポート、さらには、所属組織にとって必要なことなど、「自分以外の存在のための仕事」も担当します。

 それも相当な量を担当します。

 以前、「リーダーになったとたん、仕事が10倍になった。給料が上がって喜んでいたけれど、割に合わないです……」と言っている方のお話を伺ったことがあるのですが、リーダーになって最初の1カ月は、自分のデスクに座って仕事ができたのは朝出勤した直後のみ。あとは、会議や部下の取引先も含めての挨拶回りなどで、ほぼ座ることができなかったそうです。

 皆さんも、似たような状況ではないでしょうか。

 リーダー自身で調整を図れないことも当然にあり、結果として「自分の仕事」が後回しになります(リーダーとして、部下や後輩、会社のことをするのも、もちろん自分の仕事ではあるのですが、本記事では、リーダー個人が担当することになっている仕事のことを指すこととします)。

 先ほどの「ゼロ割」のリーダーは、まさにその究極の状態に陥っていたというわけです。

1分1秒を惜しんで
朝イチで仕事するが

 部下や後輩、会社に関することは、いつ、どんなふうにあなたの時間を奪いに来るか、わかりません。リーダーは、そのいつ来るかもわからない「自分以外の存在のための仕事」に対応しなくてはなりません。

 言い換えると、リーダーとして頑張れば頑張るほど、自分の仕事ができなくなり、それを取り戻すのに、より多くの時間、仕事をするようになって……と、仕事に追われるようになってしまいます。

「ゼロ割」のリーダーの1人であるVさんは、1分1秒が惜しいため、出社するとすぐに目の前の仕事に取りかかります。

 朝イチであれば、部下やメンバーから新規で仕事が来る可能性が低いため、自分のリズムで仕事に取り組めるからです。

 ところが、脇目もふらず作業に没頭しているのに、思った以上に時間がかかったり、割り込み仕事がどんどん入ってきて、考えていた仕事の対応ができなくなったりするなど、予定通りに進まない日がほとんど。常に時間に追われ、仕事に追われている状態です。