
プロジェクトにおいて「リーダー」は、チームメンバーの仕事量を管理・調整しながら、自身の仕事もこなさなければならない。そのため、多くの仕事を請け負うのがリーダーの役目と考える人も多い。だが、仕事が速いリーダーは、仕事を詰め込まず「サボり時間」を大切にするという。人財育成コンサルタントの吉田幸弘氏が、リーダーの在るべき姿について説く。※本稿は、吉田幸弘『仕事が速いリーダー 仕事に追われるリーダーの時間の使い方』(あさ出版)の一部を抜粋・編集したものです。
「サボりすぎ」と言われた
リーダーの手帳は空白だらけ
リーダーになって、ますます忙しくなったAさん。
会社やチームの仕事をすることや参加する会議なども増えたことから、計画的に、またリーダーとして、精力的に仕事をし、自己研鑽をしていかなくてはと、日々のスケジュールを時間単位で管理し、空いている時間を見つけては新たな予定を入れ、常に手帳は真っ黒です。
AさんにはBさんという同期がいます。
2人は同時にリーダーになったのですが、その働き方は真逆でした。
Bさんはよほどのことがない限り、予定が入っていない時間を毎日最低1~2時間は確保していました。
さらに担当する仕事の総量も、Bさんの実力からすると少なめの8割の量で見積もっていました。
Aさんとは対照的に、手帳は白地ばかりで、Bさんの実力を知っているAさんからは「サボりすぎだ」と言われるほどでした。
さて、この2人はその後、どうなったと思いますか?
Aさんは、精力的に仕事に取り組み、スケジュール通りに活動することでうまくいっていました。ところが、新たなプロジェクトを任されたり、部下から相談や報告を受けたり、急なトラブル対応を任されたりなど、リーダーならではのさまざまな仕事が飛び込んでくるようになり、残業をしたり、休日も家で仕事をしたりすることが増えていき、気づけば、常に仕事に追われている状態に陥っていました。
時間も心も余裕がないため、ミスまで出てくる始末。自分の仕事に集中したい。けれども、承認案件などはAさんが決裁しないと部下や会社の業務が止まってしまう……。結局、自分の担当する仕事を後回しにして、どうにかこなす日々となり、Aさんは日に日に精彩を失っていき、それと共にAさんのチームも疲弊していきました。
手帳に「空白」があると
サボり時間が確保できる
一方、Bさんはというと、Aさんと同じように、部下から相談や報告を受けたり、急なトラブル対応を任されたりなど、さまざまな仕事が飛び込んでくるようになり、どんどん忙しくなっていきました。
しかしBさんには、毎日最低1~2時間の“サボり時間”があるので、その時間帯を急な割り込み仕事などの対応に使い、他の仕事に支障をきたすことなく進めることができています。
私が今まで出会ってきた部下に信頼されるリーダーは皆さん、この「サボり時間」を確保していました。むしろ、「サボり時間」からスケジュールに書き込み、予定を入れていくほど徹底しています。
「サボり時間」は別名、「何に使ってもいい時間」(ただし、ランチの時間をここに当て込むのはNG)であり、「魔法の時間」です。