在阪某局の購入担当は、タイトルに「巨大」や「処女」がつくと必ずその映画を買うといわれていた。あるとき、あるディストリビューター(配給会社)が冗談で「巨大処女アリの逆襲」という架空の映画の資料を作って持っていくと、担当は資料を見るなり目を輝かせて「よっしゃ、これもらうわ!」と飛びついたという。
当時、実家で父親から「テレビ局の仕事ってどんなことをやってるん?」と尋ねられた。「購入予算を3 億円預かって、古い映画やアニメを買い付けたりしてるねん」と説明すると、公務員だった父親は「おまえが運用しているつもりかもしれへんけど、それは上席が裏でしっかりコントロールしているんやろ」と言う。「本当に誰の了承も得ずに、自分ひとりで買うアニメを決めてるねん」と言っても信じてくれなかった。公務員の世界ではありえない話だろう。いや、ふつうのテレビ局でもありえなかったと思う。
こうして買い付けた映画だが、そのまま放送するわけにはいかない。放送時間は決まっていて、1時間半枠だと72分前後、2時間枠だと89?92分ぐらいに編集しなければならない。この放送枠に合わせて映画会社が編集したり、納品後、テレビ局が編集したりする(2025年現在、監督の承認を得ずに勝手に編集することなどありえない)。
イケイケな女性メンバーがたくさん参加していて風紀は恐ろしく乱れていた。地方局のテレビ局員には地方の国公立大出身者が多く、勉強しかしてこなかったようなウブな男が多かったので、手練れの女子からすると「赤子の手をひねる」くらいにチョロかったのかもしれない。その中のメンバー同士で結婚したカップルがいて、結婚式に出て「あのテーブルの男性、全員新婦の元カレやん」と震えた。
「Dr.スランプ アラレちゃん」や「キン肉マン」「機動戦士ガンダム」など実績のあるものを買っていた。アニメ枠の放送は午後6時台で、他局はどこもニュースを放送している時間で、競合がないのも功を奏した。