仕事に関わる“みんなの笑顔”がいちばん大切

 創業以来、19期連続で増収を続け、大宮を拠点に躍進していく武蔵コーポレーション――「点ではなく、長い線で見ていく経営を、10年後も20年後も続けたい」と大谷さんは語るが(*6)、改めて、社員への想いと事業の展望を尋ねた。

*6 武蔵コーポレーション「武蔵TIMES vol.131」より

大谷 経営の三要素は「ヒト・モノ・カネ」と言われますが、私は「ヒト・ヒト・ヒト」だと思っています。「モノ」をつくるのも「ヒト」、「カネ」を生み、運用するのも「ヒト」。武将の武田信玄が、「人は石垣、人は城」と言いましたが、石垣をかたちづくるひとつひとつの石は、丸いものもあれば、四角いものもある。大きい石もあれば、小さい石もあって、いろいろな石が組み合わさって石垣ができている。会社で働く人も、300人いたら300通りの個性があって、みんながうまく交じり合い、ひとつの強いチームになっていく。1にも2にも、「ヒト」が大切なのです。

 会社の規模は、私が一人ひとりに寄り添えるくらいが理想かな、と。だから、単に大きくしたいわけではありません。お客さまが求める範囲で成長していければいい。結果として大きくなるのはいいけれど、売上数字をやみくもに追いかけるのではなく、まずは、武蔵コーポレーションに関わるみんなが笑顔でいてくれること――それがいちばん大切だと思います。

 人口減少で変わりゆく住宅事情を背景に、市場間競争の激しい不動産業界だが……業界の中で、日本社会の中で、武蔵コーポレーションはどのような役割を担っていくのだろう。

大谷 今後、日本は、土地の優劣差がますます広がっていくでしょう。千代田区・中央区・港区といった東京23区の中心部や、ここ大宮のような中核都市は地価が上がっていきますが、地方では過疎化が進む場所も増えていきます。アパート・マンションの価値も二極化し、極端に言えば、家賃がタダでも空室になる住宅も出てくる。そうしたなか、私たち武蔵コーポレーションは、東京近郊でアパート・マンションを取り扱い、管理・リフォームし、住みやすい部屋を地域住民の方々に提供していきます。そして、住宅費を下げたい入居希望者のみなさんのニーズに応えながら、不動産を所有する方々の資産を守っていくのが当社の役割です。

 そして、お客さまと社員の幸せの実現を目指しながら、私は、これから先も、「自分が社会にどう貢献できるか?」を考えていきます。