なぜかといえば、苦手科目は文字どおり、その人にとって「苦手」なものです。他人の3倍の時間をかけて勉強しても、他人の3倍できるようにはなりません。コストと成果がまったく釣り合っていないのです。

 受験生にとって時間は非常に貴重なものです。その大切な時間を、苦手教科の克服のために注いでも、大して点数は上がらないことは目に見えています。

受験では苦手科目を
克服する必要はない

 はっきりいってしまうと、受験においては苦手科目をいくら勉強しても効率が悪いので「苦手科目は克服する必要がない」のです。

 といっても、どの科目も最低限のラインはありますから、最低限の点数は取れるようにしておくべきです。その最低ラインを計算したうえで、時間を苦手科目の克服で浪費するのではなく、有効に最低限を維持することに使うべきです。

 試験は基本的に総合点の勝負ですから、得意な科目やそれなりに自信のある科目の学力を上げることに時間を使ったほうが有意義です。

 得意科目を失敗した際のセーフティネットを苦手科目にしたいとの意見を聞くこともありますが、得意科目を失敗した際に苦手科目で他の人より点数を取ることができて、得意科目での失敗をカバーすることができることはごく稀です。逆に得意科目の勉強時間が減り、失敗する確率を高める可能性が高くなってしまいます。

 試験本番においても、苦手科目は完璧さを求める必要はありません。例えば、数学だったら「4問中2問だけ完全に答えるぞ」くらいの勢いで受けるほうが、受かる確率は上がるでしょう。

他の科目の成績を上げて
苦手科目をカバーする

 こうした作戦は実体験から考えたもので、実際に私は苦手科目よりも他の科目を伸ばすことで東大に合格することができました。

 私は数学が本当に苦手だったので、他でカバーをしようと思い、他の科目の成績を上げていきました。そして、東大の入試で数学の4問中2問を取れれば100%合格できるだろうという配分になるように綿密に他の科目の得点率を計算しました。