クビは「メール1本」――マスクのサインと同時に届いた解雇通知

パラグにブレット・テイラー、最高財務責任者のネッド・シーガルはうまく立ち回り、警備員に本社から追い出されるという屈辱は避けたらしい。ハロウィーンパーティが盛り上がっているあいだに姿を消したのだ。

うわさによると、この3人も、経営幹部のかなりの人数も、買収書類にマスクがサインするのと同時にメールでクビを宣告されたらしい。

ボーナス日前の「理由ある解雇」――退職金も支払われない可能性

パラグら旧経営幹部は「理由ある解雇」にするという話もあるらしい。退職金がもらえない可能性もあるわけだ。

さらに、大量解雇が予定されているとのうわさもあった。しかも、ほんの数日後の11月1日、つまりボーナス支給日よりも前に、らしい。 

マスクからの説明は一切なし

一方、正式な通達はなにもない。ツイッターアカウントのプロフィールが「チーフ・ツイット」に変わった以外、マスクからはなにもなくて、残ることになった何人かの経営幹部から、とにかく落ちついていつもどおりにするようにとか、マスクとともに10番ビル2階に詰めている「アドバイザー」軍団からこういう要請があったとか言われるばかりだ。

詰めかける“舎弟”と側近たち――彼らは何をしに来たのか?

ジェシカが知っているのは、マスクの「舎弟」についてグーグルとインターネットで調べられたことだけだ。

デイビッド・サックスにアレックス・スパイロにジェイソン・カラカニス。シュリラーム・クリシュナンというのは、ツイッター経営幹部だったこともあるソフトウェア技術者で、いまはベンチャーキャピタルのアンドリーセン・ホロウィッツに参画しているらしい。

ジャレッド・バーチャルはマスクの財務関連を取り仕切っている人で、脳インプラントの会社、ニューラリンクのCEOを務めている。アントニオ・グラシアスもベンチャーキャピタリストで、先日、テスラの取締役に就任したらしい。 

舎弟に加えて、いとこのアンドリューとジェームズ、弟のキンバルも連れてこられているし、テスラとスペースXから技術者やプロダクト関連の人々も大勢連れてこられている。駐車場にモデル3、モデルS、モデルXがあふれているのはそのせいだ。

ハロウィーンの仮装を脱ぐ間もなく、ツイッター社内では“血の入れ替え”が始まった

いったい何人のアドバイザーや舎弟がマスクと「作戦本部」に詰めているのかはわからないが、なにをしにきているのかはよくわかる。

パラグ、ブレット、ネッド・シーガル、ショーン・エッジットは手始めにすぎない。

ネコミミにシッポ、黒タイツというハロウィーンパーティの衣装をまだ脱いでもいないのに、流血の惨事が始まろうとしているのだ。

(本稿は『Breaking Twitter イーロン・マスク 史上最悪の企業買収』から本文を一部抜粋、再編集したものです)