一方、原因となるようなことが起こっていないのにもかかわらず、症状が出てしまう場合、それは医者に行くべきなのかもしれません。

 たとえば、苦手な上司が今日は休暇でいないとわかっているのにもかかわらず、急にその上司が後ろに立っている気がして振り返ってしまうなどの症状があるとき、それは医療受診のサインとも言えます。

・身近な人から「いつもと違う」と言われたとき

 自分の親しい人、もしくは一緒に過ごす時間が長い人に、最近いつもと違う、笑顔がなくなった、調子が悪そう、元気がない、イライラしすぎではないか、などの指摘を受けたときは、素直に真摯にその言葉を受け止めるようにしましょう。あなたを心配して言ってくれているのです。

 指摘が当たっているか迷うときは、ぜひもう1人信頼できる人に聞いてください。2人以上の人に“いつもと違う”と指摘をされたときは、必ず医療受診しましょう。

早めに医者に相談する
2つのメリット

 ここまでお伝えしてきたような症状が出たときに、できればすぐに医者に行ってもらいたい理由は2つあります。

 1つは早期に治療を開始したほうが治るのも早いからです。仮に医者に行くのが2ヵ月遅れて治療を開始したら、同じ期間では治りません。回復するにはもっと時間がかかることは確実です。

 2つ目は、メンタルクリニックこそ医者との相性がすごく大切ですので、ぜひ相性の合う良い医者を見つけてほしいからです。

「迷わず医者に行って!」産業医が教える、メンタルヘルス不調の見極め方『未来のキャリアを守る 休職と復職の教科書』(武神健之、ディスカヴァー・トゥエンティワン)

 医者を探すのにはそれなりに気力と体力を使います。もしこのまま医者に行かずに数ヵ月経ってしまったら、そのような気力体力があなたには残っていないかもしれません。

 すると、最初に行った医者がたとえ合わないと感じたとしても、ワラにもすがる思いで、その医者に通うしかないと判断をしてしまうでしょう。

 だからこそある程度元気なうちに、自分からお医者さんを選べる状態のときに、早めにお医者さんに行くようにしてください。結局は、自分のためになります。