福島市のまるせい果樹園では、10月下旬のハロウィン期間の夕方から夜にかけての時間帯に園内をライトアップする試みを行っています。夜の果樹園はライトアップすることで昼間とは一風変わった趣きが出ます。普段は真っ暗な夜の果樹園が、かわいくワクワクする空間へと化します。

果樹園の一角を約3000個の電球でライトアップ同書より転載

 そして、シードルなどのお酒やおつまみの提供を盛り込み、リンゴのカレーといった果樹園にちなんだ料理を提供することで新たな収益が生まれます。このイベントで地域外からの新規の顧客を獲得することができ、さらには、ECサイトでの販売によって、まるせい果樹園のリンゴのおいしさを知った来場者は継続的にリンゴの購入ができるようになりました。

 二次交通を確保する目的と多くの大人にお酒を楽しんでもらうため、市街地からの乗り合いタクシーも用意するなど、アクセス面にも気を配っています。この事業は、テレビのニュース番組やゴールデンタイムのバラエティー番組でも特集が組まれ、知名度が上昇しています。工夫を凝らせば、地方の果樹園というシーンでも注目を集め、お金も落ちるのです。

早朝の収穫体験なら
観光消費額も大幅にアップ

 観光体験が乏しい早朝ですが、「この時間帯でないと体験できないプログラム」があります。例えば、農産物の収穫です。

 北海道の十勝地方で農家と提携して行っているプログラムが、トウモロコシの朝採り体験です。朝採り野菜は前日の光合成で作り出された養分がたっぷりと蓄積されているので、一日でもっとも糖度が高い状態なんだそうです。実際に、北海道の透き通った空気の下、トウモロコシを採ってかじりつくと、口の中に新鮮な甘みが広がり、ロケーションのよさも相まって至高のひと時となります。

北海道の広大なトウモロコシ畑でのかぶりつき体験同書より転載