トウモロコシを採って食べるだけでは、それほどのお金はもらえません。だから、バーベキューでのトウモロコシ食べ放題に加えて他の野菜や肉類も楽しんでもらう。

 朝から一杯ひっかけたい人向けに、ビールなどのお酒も振る舞う。

 さらに、農家さんがあらかじめ保有していたサウナに入ってもらい、軽トラの荷台を水風呂にすることで、他では味わえない大自然の中でととのう。これだけのメニューを用意すれば、1人当たり1万円の価格設定にしても十分通用します。

 漁業が盛んな地域ならば、漁体験も人気企画になります。それも、ただ「獲る」だけではなく、「食べる」ことも組み合わせた観光コンテンツなら、尚いいです。

書影『観光『観光“未”立国~ニッポンの現状~』(扶桑社)
永谷亜矢子 著

 徳島県・鳴門市では朝に漁師さんとボートに乗って、車エビを収穫しに行くツアーがあります。塩田の跡地を利用して作られた広大な池に、あらかじめ漁師さんが仕掛けておいた網を一緒に引き上げ、車エビを水揚げします。

 獲れた車エビはおがくずを使いながら箱詰めし、漁師さんの仕事を体験。ボートの上では、塩田の歴史や鳴門の海や環境問題について漁師さんから直接話を聞き、生きたままの車エビを持ち帰ったらお待ちかねの実食タイム。「生」「ゆで」「焼き」と、お好みの調理法で味わうことができます。

 未明・早朝であっても、その時間帯でこそ行われる地域の人々の営みがあり、それを体験プログラムとして組み立てるのです。

 見学だけでなく、採れたてを食べるところまで実現することで体験価値は数倍となり、単価もアップできます。さらには、早朝体験は宿泊しないと参加できないため、観光消費額アップにもっとも寄与する宿泊を促すという大きなメリットがあります。