本人がいないときに、その人の意外なエピソードや不幸な話を言いたくなることはないだろうか。噂話を誘発する感情の多くは、じつは「自分自身の不安や恐怖心」に由来している。無意識のうちに発した言葉が、後から自分自身を苦しめてしまうこともあるのだ。自分の感情を知り、反応を選ぶことで、人はストレスフリーに生きることができる――『瞬間ストレスリセット――科学的に「脳がラクになる」75の方法』(ジェニファー・L・タイツ著、久山葉子訳)では、自分の心の動きを解明し、ストレスをごく短時間で消す方法、マインドリセット法を紹介している。「シンプルなのに効果抜群」「ストレスが尋常じゃなかったので助かった」「すぐに使える方法がたくさん載っている」など絶賛レビューが多数寄せられる本書。今回は発売を記念して、特別に本書の内容を一部抜粋、再編集してお届けする。

なぜ人は噂話をしたくなるのか? その衝動の驚くべき正体とはPhoto: Adobe Stock

不安なときや自信過剰なとき、「噂話」をしたくなるもの

あなたが「誰かの噂話をしたい」と思うとき、何がトリガーになるのかを知ろう。

明確な目的もないのに、噂話をしてしまうのはどういう感情のときだろうか。

不安なときや自意識過剰なときに意地悪なことを言ってしまうなら、その感情を引き起こす状況になったら気づくよう心がけよう(久しく会っていない友人とディナーをするときなど)。

そして感情にかられて後悔するようなことを口走るのではなく、もっと意図的に言葉を使うよう自分に言い聞かせよう。

悪口大会が始まったら、ちょっと立ち止まる勇気を

噂話をする習慣を断つのは難しいかもしれないが、自分の価値観(自分が扱われたいように他の人を扱うなど)を損ねてまで、本人がいたら話さないような情報を広める必要はない。

友人が進んで噂話をしたがるなら、「なるほど、そんなにドラマチックなことがあったなら話したくなるのはわかるけど、私はあなたの話が聞きたい」と、相手が衝動を考え直すような、心のこもった声がけのアイデアを持っておくといい。

噂話は、結局後悔しか生まない

誰かを疎外するような話をしていると、他の人とのつながりも感じられなくなるし、孤立してストレスが生まれる。

皆が関心を持つような噂話をすれば絆が深まり、おもしろい人だと思ってもらえる―そう考えるかもしれないが、不誠実な印象を与えてしまうし、周りの人たちもあなたに弱みを見せられなくなる。

場を盛り上げるためなら、その話はしないほうがいい

気まずいときはとくに、その場にいない人のことを話題にしたい誘惑にかられるものだ。

私も最近、友人と会っていたときに会話が途切れ、共通の友人が離婚することをつい話してしまった。

「この話をしたおかげで、2人で一緒に彼女をサポートできる」と心の中で自分を正当化してみたものの、本来なら楽しいはずのディナーだったのに、「言ってはいけないことを言ってしまった」と後悔しながら帰る羽目になった。

自分だって、こういう雑談でプライベートをネタにされたくないのに。

“噂話しない人”が持つ強さ――言葉の選び方が信頼をつくる

噂話をしないと何かを逃してしまうと思うのではなく、ポリシーを持って相手のそばにいてあげられる自分を誇りにしよう。

「無神経な言葉はその人を小さく見せ、周りからも疎外されてしまう。一方でマインドフルな言葉は人生への深い敬意から生まれるものだ」 

これは有名なマインドフルネスのコーチで心理学者のタラ・ブラッチ博士の言葉だ。

どこから始めればいいかわからない人に、ブラッチ博士は、「本当のこと(誇張せずに)、そして役立つことだけを話せばいい」というブッダの言葉を引用している。

人との会話は気分を高揚させてくれる――せっかくの会話や自己意識をネガティブなおしゃべりで汚すことはない。そのせいで心を開けなくなり、今に集中することもできなくなるのだから。

『瞬間ストレスリセット』では、科学的に短時間でストレスを解消できる方法を多数紹介。その場しのぎではなく、ストレスに強くなるための習慣や対策(ストレス耐性を高める方法)も幅広く取り上げています。