21kmを走りきったロボットは21体中6体

 コースは緩やかな起伏と曲がりくねった道で構成された21km。途中には人間のレースと同様に複数の補給所「エイドステーション」が設けられていた。大会主催者は事前に、全コースを1体のロボットが走り切ること、また途中の電池交換をしないことなどを奨励。しかし実際には途中で電池やロボット自体の交換が必要になるケースも想定され、エイドステーションで随行審判の同意を得てそれらを行うことが認められていた。ただし、ロボットを交換した場合は減点対象となる規定だった。

 各「選手」には3人までの人間の伴走が許可され、そのメンバーの交代もエイドステーションで行われた。レース中の写真を見ると、あまり普段運動をしていなさそうな伴走メンバーが汗ぐっしょりでグロッキーになっている姿が微笑ましかった。

 参加「選手」の中には、ジムの懸垂マシンのような支柱に支えられて走るものや、伴走者のリモコンで操作されるもの、子どものように伴走者にハーネスを握られながら走るロボット、さらには「走る」というよりゆっくりと歩きながら手を振る、国家指導者を彷彿とさせるユーモラスなロボットまでさまざまだった。しかし実際には、スタート直後に路上に座り込むロボットや、走行中に力尽きて崩れ落ちたり、煙を出して燃え尽きた「選手」も続出。出場した21体のうち、完走したのはわずか6体だった。

2時間40分42秒で優勝したのは「天工Ultra」

「世界初」の栄冠を手にしたのは、北京Xヒューマノイドロボット・イノベーションセンター(北京人形機械人創新中心、以下「北京Xヒューマノイド」)が製作した身長180cm、体重わずか55キロの「天工Ultra」。2時間40分42秒でゴールインした。そのスリムな体型のため、レース中に電池を3回交換する必要があったという。開発チームによれば、電池容量の増加は可能だが、その分重量が増すため走行安定性に影響が出てしまうという技術的トレードオフがあるようだ。

北京Xヒューマノイドのサイトを開くと、トップページで人型ロボットが走る動画が見られる北京Xヒューマノイドのサイトを開くと、トップページで人型ロボットが走る動画が見られる