人型ロボットの矛盾と課題
ITコラムニストの魏武揮氏は自身のコラムで「ロボットが人間の姿をしていなければならないと思い込むこと自体、想像力の欠如だ」と鋭く指摘した。そして今回のロボットマラソン大会を「大失敗の現場」と評し、次のような問いを投げかけた。
「想像力のたまもののように人間の姿に似せても、それはロボットの発展を完全に阻害している。人型ロボットには頭があり、2本の腕と2本の足が身体を支えている。しかし、なぜ頭部が必要なのか? 視覚や聴覚のセンサーが身体の別の場所にあってはいけないのか? なぜ必ず両手なのか? 3本、あるいは8本の機械アームがあれば、より多機能にならないか? なぜ二足なのか? バランスを良くするために三足や四足ではダメなのか?」
確かにマラソン大会では、足元がふらついたり、数歩歩いただけで崩れ落ちたり、わずかな走行で電池を消耗したり、走行中に頭部が外れて転がったり、伴走者の支援を受けてようやくゴールにたどり着いたりといった「失態」の連続だった。これらはメディアが大会を大々的に宣伝するほど格好いい光景ではなかった。
魏氏は「それはかつて、棋士のイ・セドルと(囲碁AI)AlphaGoが対戦したときのような、見る者をドキドキさせるものではなかった」と述べ、さらにこう続けた。「少なくとも現段階、そしてこれからしばらくの間、二足で走る能力においてロボットは人に遠く及ばないはずだ。それはロボット産業への自信のなさではなく、人型ロボット自体がもともとロボットの形態として最も非効率的なのではないかと考えられるからだ」
フィナンシャル・タイムズ 中国語版の産業テクノロジー担当編集者である閻曼氏も同様の見解を示している。
実際、優勝した天工Ultraも15km地点で倒れ、伴走者による修理・調整を経てようやく完走した。2位の松延動力N2も転倒した際に頭部が外れて転がるアクシデントに見舞われた。マネキンのような美女の頭部を付けて注目を集めた「幻幻」は歩行すらままならず、スタート直後に「座り込み」動けなくなってしまった。
なぜそうまでして人間の形をしたロボットにこだわり、人間と同じことをさせようとするのか?