しかし、二分法には、「正しい二分法」と「誤った二分法」があります。○×ゲームのように、本当に選択肢が2つしかないならばいいですが、例のように、選択肢が不自然に限定されている場合は「誤った二分法」と言えます。

 なぜなら、本当は第3、第4の選択肢が存在する可能性があるにもかかわらず、相手が提示した2つの選択肢のどちらかしか選べないように見せかけているからです。

▼「二分法の罠」への対処法

 二択を迫られた場合は、「本当にその二択しかないのか?」という視点を持つことが重要です。

 第3の選択肢があるのではないか、また、相手の質問自体が正しい質問なのかを、逆に問うてみることで、相手の誘導に惑わされずにすみます。

「資本主義を否定するってことは、あなたは共産主義ってことですか?」 →「世の中にはいろいろな主義があるから、イコール共産主義にはならないですよね。もし名づけるなら何主義って言えばいいのかな」

「あなたはこの会社で成功したいんですか? それとも成功したくないんですか?」 →「働く理由や目的は様々ですし、そもそもどういう状態が「成功」なのかを考えてみるのは、大事なことかもしれませんね」

「仕事と家庭、どっちが大事なの?」 →「どちらも大切だから、両方充実させるにはどうすればいいかを考えよう」

 このように、二分法の罠だなと気づいたら、それに乗ることなく、その問いを正しい方向に整えたり、第3の選択肢を考えていくことで、より本質的な話し合いに向かっていけるようにしましょう。

論点ずらしに、頭のいい人はこう軌道修正する

 ここまで、論点がおかしな方向にずれたり、あるべきではないところに論点が設定された場合のケースを見てきました。

 論点がずれてしまうと、話が思わぬ方向に進んでいくので、きちんと軌道修正することが必要です。でも、このときに、「話がずれているよ!」とか「そういう誘導はしないで!」などと相手を責めたり、不快感を示したりする必要はありません。