以前として一極集中の東京
どんな層の転入が多い?
親となって子どもの教育のために都会の環境を欲することはあるだろうが、そうでなければ都会にこだわる必然性はいよいよ希薄になっていく。あとは生活基盤がすでに都会にある人が都会で暮らしていくことになるが、都会だけあってその母数は多くて、それが現代の都会を都会たらしめているようなところはある。
統計(住民基本台帳)と照らし合わせると、さらに精密に、そして肉感的にこの流れを見渡すことができる。
2024年の東京の転入超過数(転出より転入がどれだけ多いか)は増加、この傾向は2021年から続いていて、依然として一極集中の状態である。だから東京(都会)が全年齢から見切りを付けられているわけではないが、15~19歳と20~24歳の転入者が顕著に多く、先に書いた通り都会が若い世代に求められていることがわかる。なお転入超過数約7万人のうち、日本人に対して外国人は12.4%であった。
一方で関東近郊や地方都市への移住も増加傾向にあり、特に子育て世帯からの希望が相次いでいるそうである。
以前は筆者も港区育ちを誇りに思い、鼻にかけ、他人に対して内心みみっちいマウントを取るための拠り所としていたが、田舎暮らし5年を経て地元愛以外に都会にこだわる必要はないのではないかと感じるようになった。
しかも最近は、「港区」という言葉はほぼ「港区女子」という四字熟語を伴ってあまりポジティブでない文脈でよく用いられ、「生活コストが無駄に高すぎる」「犬小屋のような狭さの家に住んでおよそ人間的・文化的でない」などと悪口ばかり言われるので、妬み半分の人にそんなこと言われる筋合いはないけどたしかにそれはそうかもしれない――と思える程度には都会絶対主義から離れつつあるのである。
それでも都会に戻ってきたのは都会が地元だからだが、田舎にあったある要素を持ち込めればもっと都会も色づくのではないか、という願望もある。このあたりのことは、外国人が増えてきて田舎も様子が変わってきていることと、それによって消えゆく町内会がある話などをまじえて、次回以降の機会に紹介したい。