帰還後、驚いたことにヘリの乗員が……
那覇空港へは10分程度で帰着した。U-125Aが着陸し、5分ほど遅れてUH-60Jも帰還した。驚いたのは、着陸後すぐにヘリ(UH-60J)の機体を水でザブザブ洗い始めたことだ。
ドアを開けて機内の床も水で洗い流している。「すぐに洗うんですか?」と聞くと、「海面近くでホバリングしているので、大量の海水を巻き上げているんです。放っておくと一晩でサビだらけになってしまう。だからこうして、戻ったらすぐに塩を流すんです」と。なるほど。


取材の最後に、隊員の一人がポツリと行った言葉が印象的だった。
「いつ何時、何が起きても救助に向かえるよう厳しい訓練をしています。でも、僕らが出動しないことが一番良いんですけどね……」
その一言に、彼らの誇りと覚悟、そして救難隊員としての矜持がすべて込められていた。“出動しないことが最良”と言える人たちが、いつでも出動できる命がけの準備をしている――これほど頼もしく、尊い存在はないだろう。
(フェルディナント・ヤマグチ)