人間は社会的動物なので、1人で生きるよりも周りの人たちとつながりを感じて生きているほうが幸福度が高くなるようにできています。脳内ではつながりを感じた瞬間にオキシトシンが出て、脳を活性化し、認知機能を高める効果もあります。
認知症の発症リスクを高める
「孤独感情」を抑える方法は?
逆に、高齢期に感じる孤独感情は認知症の発症リスクを高めます。孤独感と認知症発症の可能性は比例しています。
たとえば、夫婦であれば、パートナーに先立たれた人が、強い孤独感で認知症を発症するという話をよく聞きます。また、異常に老けてしまう人もいるようです。孤独感は脳の大敵です。
誰かとつながりを持つことは、脳の視床下部からオキシトシンを出す以外にも脳を活性化する作用があります。脳の前頭前野を活発に利用するので、脳の老化がさらに減少する可能性があり、老人脳を改善してくれます。特に人の目を見て話すと前頭前野がより活性化することが東北大学の研究で知られています。
スーパーエイジャー(編集部注/80~90代になっても新しいことに挑戦し、元気に前向きに若々しく生きている人)は「肯定的な社会関係」のレベルが高いことがわかっています。つながりが生む効果ですね。
一方で、苦手な人や嫌な人とのつながりは脳のストレスになります。「否定的な社会関係」は脳にいい影響を及ぼしません。プラスになるのは肯定的な社会関係です。
もうひとつポイントがあります。肯定的な社会関係があっても、その数はあまり多くないほうがいいのです。数が多いと脳が処理しきれないからです。数ではなく、大切なのはつながりの質です。腹を割って話せる親しい人がいることが大切なのです。
ちなみに、仲がいい人が1人でもいれば脳の認知機能も幸福度も上がりますが、だからといって仲のいい人が2人以上はいらないというわけではありません。複数人いることはいいことです(くり返しますが、多すぎない範囲で)。