戦況が膠着状態の2025年に
登場したのがトランプだった

春名幹男 著
だが、2024年の米大統領選挙でトランプが勝ち、政権に復帰。符丁を合わせるかのようにロシア軍はウクライナ攻撃を激化させた(編集部注/2020年の米大統領選挙でトランプが負けたため、プーチンはロシアのひも付きであるトランプを使って米国のウクライナ援助を停止させることも、米国をNATOから離脱させることもできなくなった。そのために、プーチンは2022年2月にウクライナへの全面侵攻を決断した可能性がある。しかし今年1月にトランプが大統領に返り咲いたことで、米国のNATO離脱およびウクライナへの援助停止というカードを、プーチンは再び手にした。……と、筆者は主張している)。
そしてトランプは「1日で解決する」と言っていたウクライナの戦争を「6カ月」に遅らせた。この発言は明らかにロシアの攻撃長期化を示唆している。
同時にトランプはグリーンランドを領有化し、カナダを「米国の51番目の州」にする要求を始めた。いずれもNATO同盟国が絡んでおり、NATO分断につながる恐れがある動きだ。その場合、NATOのウクライナ支援は大きく後退する。
そうなればプーチンにとっては願ってもないチャンスが到来し、ゼレンスキー政権打倒の可能性が出てくる、と読んでいるかもしれない。情勢激変の行方をしっかり見守る必要がある。