有名大学附属の中高一貫校から
さらに上位大へ総合型選抜で進学も
河合さんによると、総合型選抜にチャレンジする層の中には、有名大学附属の中高一貫校に通う生徒も多数いるという。
「早稲田や慶應の附属校に中学や高校から入ると、大半がそのまま早大や慶應大に進学します。一方で、いわゆるGMARCH(学習院、明治、青山学院、立教、中央、法政の6大学を指す)の附属校では、さらに上位の大学――慶應や早稲田、上智などへの進学を目指す生徒が一定数います。こうした傾向は、小学受験の名門校である成蹊や成城といった学校になるとさらに顕著です」
「大学附属校生の利点は、一定の基準(評定平均や出席日数など)を満たせば、系列大学に内部推薦で進学できる安心感があることでしょう(※)。仮に総合型選抜がうまくいかなかったとしても、内部進学の選択肢が残る。この“保険”があるからこそ、外部の難関大学にチャレンジする生徒が多いのだと思います」※他大学への進学を希望する時点で系列大への推薦権を放棄しなければならない学校もある
ただし、総合型選抜入試で絶対注意すべきことがある。それは、「大学入試に合格するための探究活動」をしていては、結果的に合格できないことだ。難関大で総合型選抜の面接を担当する大学教授は、「受験生が本当に熱意を持って探究活動をしてきたかは、話していて最初の5分で分かる」と明かす。河合さんもこう指摘する。
「見せかけの実績や、形だけの活動だと本心で語れず、信ぴょう性に欠けます。書類選考は通過できたとしても、面接で不合格になるケースは少なくありません」
「一番の理想は、入試だけを意識せず、高1~2年の段階では生徒がやりたいことに取り組んでみること。その中で、『もっと上手くなりたい』『なんでこうなるんだろう』と考え、工夫し、人に聞いたり調べたりする――そうした自然な探究の流れが、結果として個性的で強いストーリーになり、総合型選抜での合格につながりやすくなります」
中学受験はゴールではない。「どの学校に入るか」よりも、「どんな学校で、どう学ぶか」が、その後の進路を大きく左右する。たとえ中学受験で第1志望に合格できなくても、その子らしい学びを深め、探究を重ねていけば、大学での“逆転”は、決して珍しい話ではない。
今の時代の大学入試は、一般的な筆記試験の受験者は半数程度。総合型選抜は、ひと昔前のAO入試に比べてずいぶんと定着しつつある。わが子には、どんな学びと受験方法が最適か――「一歩先」を見据えた視点を、親は持っておきたい。