「MARCH付属校」から大学で早慶にジャンプアップする子の「切り札」写真はイメージです Photo:PIXTA

大学入試は、親世代とは異なる姿に変わりつつある。「一般選抜」(いわゆる筆記試験中心の入試)よりも、「総合型選抜」(旧AO入試)と「学校推薦型選抜」を合わせた受験者の方が多くなっているのだ。そこで今、中学受験の段階において“大学入試を見据えた戦略”も重要な視点になるという。どういう意味か? 数多くの総合型選抜合格者を指導してきたAlternative Academy™代表・講師の河合雄介さんに話を聞いた。(教育エディター 江口祐子)

中学受験の段階において
“大学入試を見据えた戦略”

 総合型選抜(旧AO入試)で慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)や早稲田、立教、筑波などの難関大に合格するには、どうしたらいいのだろうか?一般的には、部活で全国大会レベルの活躍があるとか、海外経験が豊富だとか、コンテストでの入賞歴があるような、いわゆる意識の高い子をイメージするだろう。

 しかし、前回の記事【慶應SFCのAO入試「たった3週間で合格できる子」と「スポーツで全国レベルなのに不合格になる子」の決定的な違い】でも紹介した通り、実際に難関大の総合型選抜で求められるのは、「自発的な学びとそのプロセスをいかにプレゼンするか」だ。自主研究や探究学習、日常的な課外活動にどれだけ能動的に取り組んできたかをうまく伝えることが試される。

 そして、定期テストの結果などの学力は関係ないと思われがちな総合型選抜でも、「評定平均」は重要な評価軸となる。おおむね4.0前後を最低限キープしながら、探究活動や課外活動を継続してきた実績が求められる。

評定平均とは高校1年~3年の成績を「5段階評価」で平均したもの。選抜方式に関係なく大学出願時に提出する「調査書」に必ず記載される。一般選抜では、評定平均の数値が合否の判断材料になることは、ほぼない。一方、総合型選抜や学校推薦型選抜では判断材料になり、出願条件として一定基準以上の評定を求める大学が多い。募集要項上、評定平均は明記されていないが、目安として4.0以上は欲しいところ。ただし、評定が3.0未満でも、独自の探究活動や経験の希少性で合格することもある。これが、総合型選抜が「逆転合格」と揶揄されるゆえんでもあるが、高校の成績以上に重要な目標を持ち続けた生徒だけが手にできる入学の切符とも評価できる。

 評定平均は「相対評価」で決まるため、同じ5段階評価でも、その数字の意味には差がある。つまり偏差値の高い進学校では、上位の成績をキープするのは難しく、評定4.0以上を取るのは一苦労というもの。

 一方で、自分の学力が校内で比較的上位に位置するような学校に入れば、相対的に高い評定を取りやすくなる。また、総合型選抜に積極的な私立高校では、評定の数字に若干のバイアスが掛かっていることもある。あくまで目安だが、数字というのは受験生にも大学教員にも印象強く映るものだ。