中学受験で第2志望の中堅校から
難関大へ総合型選抜で合格する子の特徴

 文部科学省は、「評定平均は全ての高校で同等に扱う」ことを基本方針とするので、大学側が高校ごとのレベルを考慮する制度は公開されていない。とはいえ、出願書類には出身校の情報が含まれているので、選考担当者が自然と把握できる仕組みになっている。

 総合型選抜に詳しいAlternative Academy™代表・講師の河合雄介氏はこう語る。

「大学入試で総合型選抜を受ける観点では、中学受験で無理して偏差値の高い学校へ進むのは、必ずしも良い選択とは思いません。というのも、自分の実力よりも上のレベルの学校に背伸びして入ってしまうと、評定平均が取りにくくなるだけでなく、劣等感を抱えてしまいやすい。自己肯定感が低いと、自発的な探究活動に取り組む意欲が湧きにくくなります」

「自分の実力に見合った、あるいは少し余裕を持てる中高一貫校に進み、評定平均を4.0前後キープしながら、探究学習や課外活動にじっくり取り組む。その方が、総合型選抜で難関大を目指す場合、現実的で賢明な戦略と言えます」

 例えば、どういったケーススタディーがあるのだろうか? 河合さんに具体例を聞いた。

「私が指導したAさんは、中学受験で第2志望の中堅・私立女子中高一貫校に進学した生徒でした。入学後、学校のアットホームな雰囲気や、無理のない学習プランで、部活や創作活動に打ち込みながら、勉強にも主体的に取り組んでいました。

 評定平均は高校でも安定して4.0以上をキープ。高校2年生で、『子どものグリーフケア』に関心を持ち、心の回復に絵本が役立つ可能性を探究し始めます。高3になると国語や美術の先生とディスカッションをしたり、図書館に通い詰めて絵本の視覚表現の要素を分析したりと、独自の視点で丁寧に資料をまとめていました。その成果が認められ、関西学院大学の〈探究活動重視型入試〉(書類+面接・プレゼン)で見事に合格しました」

「この生徒に限らず、総合型選抜で合格する子の特徴として、定期テスト期間だろうとなかろうと関係なく淡々と活動を続けている子が多いです。となると、普段の勉強があまりプレッシャーにならないような学校を選択した方が、総合的な探究活動をするのに効果的でしょう」