
梅雨入りの6月は観光に不向きな印象もありますが、濡れた新緑の美しさもまた格別なもの。京都屈指のパワースポットで、鴨川の水源に位置する京の奥座敷「貴船」へ。貴船川の清流沿いを歩き、本宮、結社、奥宮の三社を詣でてご利益を祈願した後は、夏の風物詩「川床(かわどこ)」で気軽なカフェタイムを楽しみましょう。(らくたび、ダイヤモンド・ライフ編集部)
京の都の水を守る「龍神様」に会いに行く
京都駅から公共交通機関を利用して貴船エリアへアクセスする方法は、2通りあります。一つは、京都駅からひと駅隣のJR奈良線「東福寺」駅で京阪電車に乗り換え、「出町柳」駅でさらに叡山電車に乗り換えて「貴船口」駅へ。もう一つは、地下鉄烏丸線の終点「国際会館」駅から京都バス52系統に乗って「貴船口」停留所で降ります。
とはいえ、貴船エリアの玄関口である「貴船口」駅から貴船神社や川床のある一帯まではまだ2kmほど離れていますので、ここからさらに京都バス33系統に乗れば約4分で「貴船」停留所に到着します。森林浴をしながら歩くのも心地よいのですが、周りには人家も少ないので、念のため女性のひとり歩きは控えて、駅から誰かと一緒に歩く方が安心かもしれません。
貴船神社のご祭神は、高龗神(たかおかみのかみ)。『古事記』や『日本書紀』では、日本の国や神々をお生みになった伊奘諾尊(いざなぎのみこと)の御子神に当たります。「龗」の文字に「雨」と「龍」が含まれるように、古くから京の都の水源を守ってこられ、龍の姿をしていると伝えられてきました。全国にある「水神」の社の総本宮でもあります。
貴船神社で人々は、干ばつのときには雨乞いを、豪雨による水害を案じるときには雨やみを願い、生命の源である水と共に暮らしを営んできたのです。ちなみに、地名は「きぶね」ですが、神社は「きふね」。水のように濁らず清らかに、という思いが込められているのだそうです。
貴船神社は、本宮、結社(ゆいのやしろ)、奥宮(おくのみや)の3つの社が貴船川沿いに点在しています。一本道で、道に迷うこともありませんので、地図は不要。三社詣でをしながら、澄み渡る空気と新緑、せせらぎの音に浸ることができます。
初めに、朱塗りの灯籠が誘う石段を上がって本宮でお参りしましょう。本殿に向かう前に谷からの湧き水が流れる手水舎へ。ひしゃくを手に取って触れる清冽な水は、気持ちまでシャキッと引き締まりそうにひんやりと冷たい。本殿横には、貴船山からこんこんと湧き出る霊泉もあり、水とゆかりの深い神聖な場所であることを実感できます。
かつて「気生根」と記された貴船は、文字通り気が生じる根源の地といわれています。400年の時を刻む楼門横の桂の木はご神木。根元からたくさんの枝が天に向かって伸び、八方に広がる様が、大地から立ち昇る龍の姿にも似ているとしてあがめられてきました。ここは貴船随一のパワースポットです。木の下に立ち、ゆっくりと深呼吸をしながら空を仰ぎ、気を満たしてください。ハート形を感じさせる丸みを帯びた桂の葉はかわいらしく、写真映えします。
