貴船の夏の風物詩、川床を楽しむ

ひと昔前まで川床といえば、鱧(ハモ)や鮎(アユ)など季節の魚を盛り込んだ京料理が主流で、ちょっと背伸びをして出向く場所でした。近年はもっと手軽なお店も増えています。川床の個性派は、「ひろ文」の「流しそうめん」。川床までの高低差を生かして渡した竹筒にそうめんを流すというユニークな趣向で、今では外国人観光客に大人気。予約制ではなく、当日に受付で代金を支払い、整理券を受け取って順番を待つスタイルです。
ここ数年、予約不要でふらりと立ち寄れることができるカフェスタイルの川床も増えてきました。昨年は、料理旅館「右源太」が手がける「左源太」が、カジュアル川床としてリスタート。多彩な味を彩りよく詰め合わせた「25種の色彩弁当」のほか、鮎の塩焼きや猪肉丼といった一品メニュー、カラフルなクリームソーダやかき氷などスイーツも充実しています。
一番おしゃれでおすすめしたいのは、結社と奥宮の間にある「兵衛Cafe」です。貴船神社の神主だった先代が、川魚や山菜料理を振舞ったことから始まった料理旅館「兵衛」が始めた川床カフェで、旅館の1階を改装したのが2017年という、川床カフェの先駆けです。
こちらは一面に床を敷いているのではなく、ロの字形になっていて、中央を貴船川が流れる空間デザインが画期的。川際の席に限らず、すべての席でせせらぎを近くに感じられます。選んだメニューの価格に席料の550円を足せば、誰でも利用OK(30分制)。注文時には、空いている席をライブカメラで確認し、座りたい席を選べるのも便利です。
看板メニューは、丹波産小豆を上品な甘さに炊き上げた自家製あんと酒粕クリームを、サクッと香ばしい最中皮でサンドした「酒粕クリーム最中」。京都の人気ロースターWEEKENDERSの豆で入れる香り高いコーヒー、宇治玉露の産地として有名な京田辺・西川茶園の抹茶を使ったドリンク、ハーブティーなどが味わえます。
岩を打ってはじける水しぶき、降り注ぐ木漏れ日、聞こえてくる鳥の声……日常の喧騒から解き放たれる別天地で、休日のひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。
