いびきをかいている状態は眠らずに運動しているのと同じ
仰向け寝の人は要注意!

 たっぷり寝たのに日中に強い眠気に襲われる、どうも疲れがとれないなどと感じていたら、それは睡眠の質に問題があります。睡眠の質を上げる方法はのちほどお話ししますが、まずチェックすべきは、いびきです

 いびきは睡眠中に狭くなった気道を空気が通るときに起こる摩擦音のこと。実はいびきをかいている人は、脳を十分に休ませることができていません。眠っている間、筋肉が弛緩して垂れ下がった舌の根元や喉の筋肉が気道を狭くさせます。そのため脳が低酸素状態に陥らないよう交感神経が働き、心拍数や血圧を上昇させ脳に酸素を送り続けます。つまり、睡眠中に日中と変わらずフル稼働させられているという状態です。仰向けで寝ている人は、舌が重力で落ち込みやすいため要注意。いびきをかいているときは、自律神経が脳に酸素を供給するため血圧や心拍を調整なければならず、まさに運動しているときと同じ状況が生じます。

 さらに恐ろしいのは、いびきが「睡眠時無呼吸症候群」という深刻な病気につながりかねないこと。睡眠時無呼吸症候群は睡眠中に呼吸が一時的に停止、あるいは浅くなる状態が繰り返し起こる病気です。この状態が長く続くと、脳疲労が蓄積され、神経細胞の損傷や認知機能の低下などにつながります。

しっかり眠れているかはどう判断する?
起床4時間後の気分をチェック!

 朝は目覚まし時計の大きな音で目が覚めるという人がいますが、実はそれ、自律神経にとってはあまりよいことではありません。音を聞いた途端に交感神経が緊張し、心拍数や血圧が一気に上昇。朝から疲れてしまうからです。理想は睡眠中に優位だった副交感神経が起きる前の10~15分くらいの間に徐々に交感神経に切り替わり、自然に目覚めること。そうすると自律神経のバランスが整った状態で気持ちよく目を覚ますことができるのです。

 この「起きてすぐ」のときの感覚が熟睡度をはかる1つの目安になりますが、さらにもう1つのタイミングが起床4時間後です。起床後、副交感神経が交感神経に切り替わると同時に、脳も活性化していき、起床後4時間の段階で脳の覚醒度は最も高くなります。午前中は仕事がはかどるといわれるのはこのためです。ところが、このとき、「まだ眠い」「体がだるい」と感じるようであれば、睡眠で脳の疲労がとれていない証拠です。