
面倒な作業を先延ばしにして、なかなか仕事に着手することができない。締め切りが迫っているのに、エンジンがかからない…。そんな困ったお悩みに、認知行動療法を専門として自身もADHD特性のある臨床心理士が「すぐに試せる仕事術」を提案する。※本稿は、中島美鈴『仕事も人生も、これでうまく回る!不器用解決事典』(朝日新聞出版)の一部を抜粋・編集したものです。
苦手な作業をどんどん先延ばしに
してしまうのはなぜなのか?
エクセルで見積書を作るのが苦手です。昔から細かい数字と向き合うのが苦手なんです。なのでお客さまと対面で話をするところまではいつもうまくいくのですが、会社に帰って書類を作る段階になると、少し手を付けてみるものの、しばらく寝かせたりして、急に対応スピードが落ちてしまいます。
だから最初の感触ではお客さまといい関係性を築けそうになるのですが、見積書のお渡しが遅くなるせいで、だんだん信頼されなくなっていきます。
先延ばしは多くの人に見られることです。先延ばしするかしないかは、しなければならない課題に対して「このぐらいならできそう」と思えるかどうかが鍵になっています。
ソウタさんは昔から数学が苦手でした。これまで学校の成績が良くなかっただけでなく、年末調整の書類などちょっとした書類仕事もうまくできませんでした。
こうした過去の経験からくる苦手意識があるので「見積書の作成はできそうにない!」と不安に思って、着手を避けたのでしょう。「後でしよう」と思えば、一時的に不安な気持ちはなくなりますね。