しかし、長い目で見れば「ああ、後で見積書を作らないと」「間に合うかな」「またお客さまの信頼を失ってしまうかも」と心配が続いて、ひどい結果になるものです。

解決策は苦手な作業の工程を
10個に小分けしてみること

 先延ばしは「このぐらいならできそう」と思えるかどうか、つまりは、「できそうにない」という不安が鍵になっていましたね。これは見積書という課題を1つの大きなまとまりとして見てしまっていたからです。誰だって苦手なものを最初から完璧にこなそうとするとプレッシャーを感じますよね。

 ですので、1つの大きなまとまりを、10個の小さな作業に分解してみましょう。最初に着手する作業は「ちょろい」ものにすると、より安心して取り組めます。

 ソウタさんは、見積書作成を次のような10個のタスクに小分けにしました。

 最初の一歩は、(1)「パソコンを起動させながら作業中に飲むコーヒーを淹れる」にしました。

 大好きなコーヒーの香りに包まれたら、その次は、(2)「エクセルを開き」、(3)「資料を戸棚から出して机に置く」です。いいですね。(4)「資料の該当ページを開く」、(5)「作業中に途中で閉じてもいいように付箋(ふせん)をつける」、(6)「見積書の件名を入力」、(7)「単価を入力」、(8)「個数を入力」、(9)「小計と消費税を確認して合計金額を確認」、(10)「見積日を入力して相手に送信」こんなかんじです。

やる気を司っている
「脳の側坐核」を刺激せよ

 少々細かいと感じるかもしれません。私たちの脳の側坐核と呼ばれる部分はやる気を司っていて、ここに脳内伝達物質が流れることでやる気が出ます。

 こうしたコーヒーを淹れる、パソコンを起動するという作業で少しずつでも体を動かすとここが活性化することがわかっているのです。ソウタさんは、こうして見積書を完成させることができました。