2024年の8月には、ヤッホーブルーイングを含む5社共同による微アルコールに特化したビアガーデン「微アルでここちよい微アガーデン」が開催された。人気の「常陸野ネストノン・エール」(木内酒造)、「CIRAFFITI Session IPA」(トリクミ)などが会場に並び、全国から多くのファンが集まったという。

 コロナ禍の影響もあり、日本でも微アルコール、ノンアルコールの人気が高まり、次々と新商品が発売されている。ビールをはじめ、ワインや日本酒、カクテルまでノンアルコール、微アルコールの商品が販売されるようになった。飲食店でもノンアルコールのカクテルである「モクテル」がメニューに並ぶようになり、酒に弱い人から支持を得ているという。

「私たちは、適正飲酒を『ウェルビーイング』の文脈で考えています。ウェルビーイングとは、身体的、精神的、社会的に良好な状態を指します。クラフトビールメーカーとして、微アルコールやゆっくりビアグラスによる身体的な健康を提案するほか、当社主催の醸造所見学ツアーやファンイベントなどで、精神的・社会的な健康も提案したい。人とのつながりが希薄な今、イベントに参加することで初対面の方々が友達になったり、意気投合した人と2次会に行ったり、中には結婚したりするカップルもいます。クラフトビールを通じて、人とのつながりを生み出し、社会とのつながりに貢献したいですね」(井手氏)

 ただ「酒量を減らそう」とアピールしても、酒好きには伝わりづらい。井手氏の話を聞くと、飲み手の健康についてよく考えていることが伝わってくる。

もう少し飲みたい…
そんな時こそ“ノンアルコール”

 酒を飲めば、つい、それに合うつまみ、それも脂質・糖質過多のものが食べたくなる。食べればまた、酒が飲みたくなる……これがエンドレスになるのが酒飲みの性だ。

 適正飲酒とはすなわち、そのような悪循環を断ち切るために、飲み過ぎを防ぐこと。