医療機器 21兆円への挑戦#11Photo:Yuichiro Chino/gettyimages

テルモやシスメックスなど世界シェアの高い商品を持つ企業が多く、増益基調の企業が目立つ医療機器セクター。だが今後については、成長をけん引してきた中国市場の失速などリスク要因も少なくない。『医療機器 21兆円への挑戦』の#11では、医療機器や医療IT関連の104社を「数字」で分析することにより、中長期で株価上昇が期待できる本命企業を探した。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)

医療機器専業で時価総額首位の
テルモは連続で最高益を更新中

 日本企業の存在感が低下する中、世界で高いシェアを獲得している商品を持つ企業がそろう医療機器セクター。景気に左右されにくく、市場全体も伸びているため、投資対象としても成長性と守備力を兼ね備えた「ディフェンシブグロース」として魅力的な企業が目立つ。

 また、医療機器は相対的に参入障壁が高いセクターでもある。なぜならば、年々、医療機器の承認取得のハードルが上がっており、販売においては医師とのコネクションも重要だからだ。既存のプレーヤーに優位性があり、劇的なゲームチェンジは起こりにくいのだ。

 まずはどんな企業があるのかを確認していこう。

 東京証券取引所33業種分類では大手の医療機器メーカーは精密機器に属することが多いが、今回はマネックス証券のスクリーニングツール「銘柄スカウター」を活用して、医療機器や医療器具、医療関連サービスなどを展開する企業を選抜。さらに編集部が医療機器分野に進出している大手メーカーも加えた104社をリスト化し、時価総額でランキングした。

 3位までは電気機器などの大手メーカーが占めたが、医療機器専業で時価総額首位になったのはカテーテル治療製品に強いテルモだ。最高益を連続更新中で、今期も業績を上方修正している。

 テルモの時価総額は4兆4587億円で、東証上場約4000社の中で41位(2025年1月15日時点)に相当する。これはコマツや住友商事を上回る水準である。

 ランキングの上位は医療機器メーカーが中心だが、10位には製薬マーケティング支援が主力のエムスリーが登場。株価は21年1月の高値からは85%以上調整しているが、それでも1兆円近い時価総額を維持している。

 では、投資対象としての医療機器セクターをどう考えればいいのか。

 次ページでは、株式市場が織り込んでいない意外な論点を含めた短期、長期の強弱材料を紹介しつつ、医療機器や器具、さらには医療DX関連の「強い株」候補17銘柄をリストアップ。さらに専門家が注目する、中長期で業績拡大が期待できる銘柄を具体的に紹介する。