特許切れで深刻な経営危機に陥っている住友ファーマが、従業員のリストラに追い込まれた。医薬品業界は、同社のような財閥系の大企業でも“一寸先は闇”。ジェネリック医薬品各社も薬価の引き下げで経営状況は厳しい。特集『2025年「倒産ドミノ」勃発!?倒産危険度ランキング【上場434社・最新版】』の#20で取り上げるのは、医薬品業界。倒産危険度を検証したところ、6社が“危険水域”にあった。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)
深刻な経営危機にある住友ファーマ
後発品2強の東和薬品がワースト5位
住友化学傘下の住友ファーマは、2024年3月期に3149億円もの純損失を計上した。米国で主力の統合失調症薬が特許切れとなり、2期連続で巨額赤字に陥った(前期は745億円の純損失)。
苦境の中、同社が進めているのはリストラ策だ。10月末には、国内で募集した早期退職制度に604人の応募があったと発表した。足元の状況は依然として厳しく、24年4~9月期の純損益は322億円の赤字だった。
医薬品業界は、住友ファーマのような財閥系の大企業でも“一寸先は闇”である。特許が切れれば、これまでの稼ぎ頭があっという間に瓦解するからだ。
その危機を避けるには莫大な研究開発投資が必要になるが、新薬として物になるかどうかはばくちのような世界。「千三つ(1000件のうち3件の成功確率)ともいわれるリスクの高さ」(国内証券アナリスト)に大手医薬品メーカーは悩んでいる。
シビアなのは新薬だけではない。特許が切れた有効成分を使うジェネリック医薬品(後発品)も同様だ。開発費負担は小さいが、医療保険財政の逼迫から国による薬価引き下げが厳しく、後発品各社は収益性の低さに苦しめられている(詳細は特集『薬不足はいつ終わる?ジェネリック再編』参照)。
そこでダイヤモンド編集部は今回、医薬品業界の倒産危険度ランキングを作成した。同業界を扱うのは初の試みであり、6社が“危険水域”に入っていることが判明した。
このうち、後発品メーカーの東和薬品がワースト5位にランクインしている。同社はサワイグループホールディングスと並び、後発品で2強と称される大手である。
また、大学や研究機関発の上場創薬ベンチャーが国内に30社以上存在するが、そのうち数社が今回のランキングに入った。果たして1位はどこか。次ページでは、ワースト上位企業の顔触れを見ていこう。