
1543年に刊行された、地球は太陽の周りを回っているという「地動説」の先駆けとなった『天体の回転について』。宇宙は地球を中心に回っているという「天動説」が主流であった15~16世紀において、まさに“奇書”と呼ぶにふさわしい1冊であった。この著者、コペルニクスとは一体どのような人物であったのだろうか。※本稿は、三崎 律日『奇書の世界史 歴史を動かす“ヤバい書物”の物語』(KADOKAWA)の一部を抜粋・編集したものです。
かつて地球は
「宇宙の中心」だった
『天体の回転について』は、医者にして天文学者であったニコラウス・コペルニクス(ポーランド出身のカソリック司祭)によって書かれた全6巻からなる、革新的な宇宙観を示した学術書です。1543年に刊行されました。
第1巻では、「地球は球体で、運動している」ことを示すとともに、球面三角形についての論述と星の表を記しています。第2巻では、「球面天文学」について。第3巻では、「分点の歳差と太陽の視運動」について。第4巻では、「月」について。第5、第6巻では、「惑星」について記されています。
コペルニクスが活躍した15~16世紀は、「この宇宙の中心とはすなわち我々の住む地球であり、その周囲を月や太陽、そのほかの惑星が回る」という「天動説」が主流でした。
現在の私たちからすれば、天動説が当たり前とされていたとは、にわかには想像できません。しかし当時は「天動説」に反旗を翻した『天体の回転について』のほうが「奇書」だったのです。
一口に「天動説」と言っても、様々な学説が存在します。