ですから、歩幅を広げることだけに集中すれば、誰でも下のイラストのような歩き方になっているはずです。普段よりも10cm歩幅を広げて歩くことだけを意識してください。

たった1つ意識するだけ!「病気知らずの高齢者」がやっている「正しい歩き方」とは?【医師が解説】同書より転載 拡大画像表示

歩きすぎは免疫力を低下させてしまい
病気予防効果は頭打ち

「歩けば歩くほど健康によい」と思っている人は多いのではないでしょうか。でも、やりすぎは逆に健康を害します。

 過度に運動すると、免疫力が落ちてしまうからです。

 いっぱい歩いたからといって、病気を予防する効果が劇的に変わるわけではありません。中之条研究(編集部注/群馬県の中之条町で、高齢者を対象に現在も行われている調査)の分析では、7000歩を超えると、統計学的には病気予防の効果はほとんど変わりません。

 それでも、1万2000歩ぐらいまでは、少しずつ上がっていきます。そして、1万2000歩を超えると、まったくの頭打ちになってしまいます

 7000歩からは統計的に有意な差がないと述べました。ではなぜ長生き歩きを8000歩(うち20分は速歩き)としたのかというと、7000~9000歩(速歩き15~25分)のグループの平均歩数が8000歩だったからです。

『すべての病気が防げる長生き歩き』書影『すべての病気が防げる長生き歩き』(青柳幸利、エクスナレッジ)

 中之条研究の目的の1つは、病気にならない歩数および中強度活動時間を明らかにすることでした。

 この研究では、将来において病気を発症する人の割合が10分の1になる数(身体活動の閾値)を求めています。たとえば、糖尿病になってしまった人の9割は、それまで長生き歩き(8000歩/中強度活動20分)ができていなかったということです。

 1日8000歩を超えて歩かなければならない人は、メタボ肥満の人です。この人たちはエネルギー消費量を増やす必要があります。たくさん歩き、速歩きの時間も増やして、体脂肪を燃やさないといけないからです。

 メタボの人は生活習慣病予備軍ですから、この段階で薬を飲む必要はありません。でも放置すると薬が必要になるので、たくさん歩いたほうがよいのです。