まず行動することで
やる気スイッチを入れる
脳研究者で東京大学薬学部教授の池谷裕二氏は「やる気を出すための方法を考えることほど無駄なことはない」とおっしゃっています。池谷氏によると、やる気は行動して初めて生まれてくるものなのだそうです。
たとえば、企画書のアイデアは浮かんでいなくても、パソコンに向かってとりあえず新規ファイルを開いたり、タイトルらしきものを打ち込んだりしているうちに考えがまとまっていき、気づいたら1時間経っていた――。そんな経験はありませんか?
この現象は、心理学の分野で「作業興奮」と呼ばれています。私たちの体には、実際に手を動かすことで脳が活性化してドーパミンが分泌され、やる気が出てくる仕組みがあるのです。
この作業興奮の仕組みをふまえれば、やる気やモチベーションをアップさせてから動こうと考えるのは順番が逆。行動が先なんだ、と気づかされます。
ごくごく小さなことでかまわないので、まず動きましょう。やる気やモチベーションは、行動の結果としてついてきます。行動することで、やる気が出てきて、さらに行動を加速させてくれるはずです。コントロールの難しいやる気を何とかするより、行動でやる気のスイッチを入れるほうが簡単ですし、理にかなっています。
動くだけでやる気が出たり、モチベーションが上がったりするのなら、それを利用しない手はありません。やる気やモチベーションが高いときに、行動を起こしやすくなるのは確かです。動いて作業興奮を発動させましょう。
すぐ動く人がもっているのは
「ノウハウ」より「マインド」
すぐやる人とやれない人の違いはどこにあるのでしょうか。すぐできない頃の私は、「すぐやる人は、きっと行動するための特別なノウハウをたくさん持っているのだろう」と考えていました。
実際、ノウハウ(知識や技術)はネットで検索すればいくらでも出てきます。それでも悩む人が多いのは、ノウハウにこだわってもすぐ行動できるようにはならないからです。
すぐやるために大切なのは、ノウハウではありません。