ところが、先に始動したのはBさんでした。Bさんのモチベーションは低かったものの、それを気にせず、インプットに時間をかけることなく、行動に移したからです。

未経験の新人が
ベテランに勝てた理由

 Bさんはまず、同じ部署の先輩に過去の経験談を聞きに行き、営業活動に役立ちそうな最低限の知識をインプット。その後、商品カタログと提案書を準備し、1週間後、先輩に紹介された見込み客の連絡先にメールを送り始めました。その結果、数社にアポイントが取れて、商談への第1歩を踏み出すことができました。

 一方で、Aさんは何をしていたか。プロジェクトがスタートすると、まずAさんは、ねらいをつけた企業の現状分析や、営業ノウハウを得るための読書のほか、トップセールスマンが講師を務めるセミナーを受講することから始めました。そこで営業計画の立て方や、セールストークなどを改めて学び直し、勉強ノートをまとめることに時間をかけていたのです。その結果、Aさんが本格的に顧客に商談のためのアポイントを取り始めたのは、プロジェクト開始から1カ月後だったのです。

 もちろん、念入りに準備することは大切なことですが、Aさんは経験があるため、簡単なことからでもすぐに着手できたはずです。それに対して、自信もノウハウもなかったBさんは、なぜすぐに動き出せたのでしょうか?

 2人に後日談を聞いてみると、Aさんは、「納得いくまで準備を完璧にしないと、自信が持てず動けなかった」とのこと。一方のBさんは、「自信もなく不安だったけど、今すぐ自分にできることは何かを考えて、できることから手をつけてみた」とのことでした。

 このAさんとBさんのエピソードは、モチベーションやノウハウに関係なく、今、自分に何ができるかにフォーカスすることの大切さを教えてくれます。

すぐ動くほうが
早くゴールに近づく

 AさんとBさんのエピソードから、すぐ動くほうが早くゴールに近づけるということがイメージできたでしょうか。

 ブログを始めたいなら、アカウントをつくる。

 新NISAを始めたいなら、証券会社の口座開設ページを開いて記入事項を確認する。

 英会話の表現を増やしたいなら、単語を1つずつ覚える。

 読書を習慣化したいなら、今日から寝る前に1ページ読む。

 こんな小さな行動なら、誰でも今すぐにできるはずです。

 ノウハウを得るのはいいことです。ただし、小さくてもいいからすぐに動くほうが、早く望む未来に近づけるということを忘れないでください。