そこでお勧めしたいのは何よりも読書であり、ちゃんと書店に行って棚を眺めること。とにかく何でもいいから本を読んでみてほしいのです。
「池上さん、どんな本を読めばいいですか」と聞かれることが多いのですが、とにかく気になるものを手当たり次第読んでみるのが一番いいものなのです。
「そうは言うけれど、なにか目安はないのか」と聞かれれば、私は「普段のあなたの関心や仕事の分野から、もっとも離れたジャンルの本を読んでみましょう」と答えています。
思い切って読んでみると、「もっとも離れている」と思っていた分野の中に、自分の仕事や生活、普段思っていたことに近いもの、どこか通じる部分に行き当たることもあります。
もっと言えば、これまでとはまったく違う発想に行き当たって、目の前が明るくなるような体験をするかもしれません。
本を買いすぎて
破産した人はいない
以前はつまらない本だなと思っても、もったいないと思って最後まで読んでいたのですが、最近は時間のほうがもったいないと気づき、あまり面白くない本は途中でやめるようになりました。
しかし、つまらない本にも意味がないわけではありません。つまらない本に行き当たることで、面白い本の面白さに気がつくこともできるからです。
加えて、最近とてもいい言葉を聞きました。「稀覯本（貴重な古本など）でもない限り、本を買いすぎて破産した人はいない」という一文です。
『50歳から何を学ぶか 賢く生きる「教養の身につけ方」』（池上 彰、PHP研究所）
確かにそうだ、どれだけ本を買っても、文庫や新書なら1冊1000円程度。分厚い専門書でも5000円くらいですから、ギャンブルのように身を持ち崩すことはない。
酒を飲みすぎて健康を損ねたり、お金が無くなって身上を潰したりする人はいますが、本が好きで身上を潰した人はいません。借金生活になってしまうほど本を買うのはむしろ難しいとさえ言えます。
いいことを聞いた、とますます本を買うようになったため、どんどん積読の量は増えているのですが、最近では本の下敷きになって死ねるなら本望、と開き直っています。
自宅に書棚がない生活なんて寂しくはないですか？書棚にどの本をどう並べようかと考える。ここから教養への道が開きます。
