「いつか、子ども欲しい」けど、結婚していない。まだ、子どもは考えていない。婦人科に行くのはハードルが高い……という人が、正しい知識をもとに、今後「子どもが欲しい」と思ったとき、すぐに妊娠できる体に整えておくために、今すぐできること紹介した書籍『結婚していない。けど、いつか子どもが欲しい人が今できること』。38歳から不妊治療を経験した産婦人科専門医が、卵子と卵巣の老化を防ぎ、産める年齢を少しでも引き伸ばしておくために「結婚前からやっておけばよかった!」と思うことを紹介しています。今回は『結婚していない。けど、いつか子どもが欲しい人が今できること』のなかから高齢出産と染色体異常の関係について、抜粋・編集したものを構成して紹介します。

知っておきたい、高齢妊娠のリスク

【高齢出産と染色体異常の確率】45歳の出産でダウン症は30人に1人、35歳以上のリスクPhoto: Adobe Stock

35歳というと、今どきは「まだまだ若い」というイメージがありますね。でも、産婦人科医から見た35歳の妊婦さんは「高齢妊娠」の範疇に入ります。
35歳以上の方の妊娠は、医療が進んだ現代においても、リスクが伴うことなのです。

ART(生殖補助医療)における年齢別の妊娠率・生産率・流産率

このグラフは、体外受精や顕微受精などのART(生殖補助医療)を行った女性の年齢別の妊娠率・生産率・流産率を示したものです。生産率とは、赤ちゃんが生きて生まれてくる確率のことですが、35歳を過ぎるとその確率が下がってくることがわかります。

一方、流産率はどんどん高まります。なぜそうなるのかというと、加齢により卵子の質が劣化するため、卵子がうまく細胞分裂できず、染色体の数の異常を起こす確率が増えるからです。

産婦人科医として、流産の原因を探るために染色体の検査をすることがたまにありますが、その中にやはり遺伝子異常が見つかるケースがあります。なかには、受精卵が染色体異常を起こしても出産に至るケースもありますが、赤ちゃんはダウン症をはじめとした先天性疾患や、形態異常、身体的なハンディキャップを伴って生まれてきます。

女性の年齢と子どもの染色体異常のリスク

次の表を見ると、25歳の妊娠で1250分の1だったダウン症の発症確率は、35歳では385分の1と約3倍の確率に上がります。さらに45歳では30分の1の確率となり、25歳の頃の約40倍の確率でダウン症が発症することがわかります。
そして、受精卵自体も弱いため、たとえ染色体異常がなくても、無事に出産までたどり着くこと自体も難しくなってしまいます。

お母さんだけではなく、お父さんの年齢が高い場合も、自然流産の確率が上昇するという報告があります。また、生まれてくる子どもの健康にもさまざまな形で影響するリスクがあるのではないかという報告も出てきています。

私自身も、不妊治療中に流産をした経験があります。せっかく妊娠した赤ちゃんを亡くしてしまう悲しみは、筆舌に尽くし難いものです。でも本当は、なんとかして無事に丈夫な赤ちゃんを産めるようにしてあげたい。だから、こんな厳しい現実もお伝えしておきたいのです。

『結婚していない。けど、いつか子どもが欲しい人が今できること』では、結婚していなくても、いつか子どもが欲しい人が、今から将来の妊娠に備えて、「欲しいときに、すぐ産める体」に整えておく方法を多数紹介しています。妊活や不妊治療がリアルでないうちは、考えもしないような日常の些細な行動が、想像以上に卵子や卵巣を老化させてしまう……逆に、なんとなくやっていたことのおかげで意外と老化しなかった!という例も多数紹介しています。ぜひ、今から気をつけてみてくださいね。