陽性の場合は
羊水検査を実施

「1個だけちょっと嫌な話をするんだけど」

 開始から20分ほど経った頃、川端医師が切り出した。

「陰性だったらこの3つの病気については大丈夫だよってことで良いと思いますけど、万が一、陽性だったときは羊水検査をお願いするかたちになります」

「(NIPTで陽性と出てから)羊水検査まで4週間かかるから、思い悩んじゃうかもしれない。妊娠16週で検査させてもらって、結果が出るのに2、3週間かかってしまう。(今から)2ヵ月ぐらいもんもんと過ごすことになります」

 妻はこの時、妊娠10週と4日だった。もしNIPTで何らかの項目が陽性となり、羊水検査を受けて結果が確定する頃には、妊娠18~19週になっているという計算になる。

「もちろん、その間にわかることは、希望に応じてきちんとお伝えします。例えば、『小児科の先生の話を聞きたい』ということでしたら、つなげることもできます。『実際にダウン症のお子さんを育てている方に話を聞きたい』ということであれば、ご紹介できます。『一切話を聞きたくない』という方もいらっしゃるので、ニーズに応じた対応をしていきます」

 妻はひざの上で手を強く握りしめながら、じっと耳を傾けている。

決めたことを
最大限サポートする

 川端医師は続けた。

「その上で妊娠を継続するのか、中断(人工妊娠中絶)するのかについてお話をしなければいけません。ご夫婦で赤ちゃんのことを考えた上で、中断の選択肢は『あり』だと思っています」

「ただ、妊娠19週くらいだと、(赤ちゃんの)胎動が結構出てきます。妊娠初期(の中絶)みたいに、麻酔をかけている間に、知らないうちに中断(中絶)ということができない。

 3泊4日で入院し、2日間くらいかけて子宮の出口を開いて、ご出産というかたちを取らざるを得ないんですね。そこがトラウマになったり、次の妊娠に影響したりするかもしれません。