
上水道は1950年代後半以降の高度成長期に整備が加速し、80年代に普及率は90%を超えた。整備が進んだ時期の管が今、更新期を迎えつつある。特集『上下水道危険度ランキング あなたの街の管があぶない』(全4回)の#3では、下水道と同様に老朽化の現状、更新財源確保に向けた値上げの可能性をランキングで検証する。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)
15年間で老朽化率が
17%ポイント上昇
上水道管が破裂して道路に水があふれている映像を目にした人は少なくないだろう。
上水道は圧力をかけて上水道管を通して各家庭に配水する。そのため。管が老朽化した場合に、起きるのは破裂による漏水だ。大規模なものになると、漏水した水が道路にあふれて道路が水浸しになるような事故になる。
『水道統計』によれば、道路が水浸しになる大規模なものばかりではないが、漏水、濁水など上水道の管路に絡む事故件数は2022年度で1万9766件に上る。下水道の陥没事故よりも頻発している。
上水道はいわゆる高度成長期に普及した。1955年の普及率は36.0%。それが75年に87.6%にまで上昇した。80年には90%を超え、24年3月末には98.3%に達した。
法定耐用年数は40年と下水道より短い。高度成長期に整備された管は、更新されていなければ耐用年数をとっくに超えている。
更新されていない管は少なくない。法定耐用年数を超えた管路の管路総延長に対する比率である管路経年化率は07年度末に6.3%だったが22年度末には23.6%にまで上昇した。
下水道管同様、法定耐用年数を過ぎたからといってすぐに利用できなくなるわけではないが、上記の管路経年化率の推移を見れば分かるように更新が進んでいないことは間違いない。
ダイヤモンド編集部では、下水道同様に上水道の老朽化の度合いを表す老朽化度ランキング、老朽化度と事業採算を組み合わせた値上げ可能性ランキング、値上げ不要度ランキングを作成した。次ページで、そのランキングを公開するとともに、日本の上水道の置かれた現状を分析する。