同様に経営者はトランプ大統領の政策、為替レートの変動、人手不足、慢性化しつつあるインフレといった外部環境そのものをコントロールすることはできません。しかし、新聞のニュースをよく読んで世の中の動向を予測し、あらかじめ対策を考えておくことはできます。
災害は予知もコントロールもできませんが、法人向けの災害保険に加入したり、自社のリスクを洗い出して対策を考えたり、BCP(事業継続計画)を作成したりして万が一に備えることはできます。コントロールできないこととできることを切り分けて、自分でコントロールできることに全力を尽くすのです。
もう一つ、忘れてはならないことがあります。
周りの経営者から学ぶ
悩んでいるのは自分だけじゃない
トランプ関税も為替レートも人手不足も、自分1人だけが影響を被っているわけではありません。大企業も中小企業も、同業種も他業種も程度の差こそあれ、影響を受けています。そこで、他の経営者の対応をよく見て参考にすることも大切です。
例えば、人手不足対策。経営者がコントロールできることではありませんが、知恵を絞ることはできます。
運送業界は深刻なドライバー不足に見舞われていますが、ある運送会社は、東南アジアでドライバー候補を採用する取り組みを始めました。現地で日本語を勉強した後、来日後に大型免許を取得してもらい、トラックを運転してもらうというのです。
先に東南アジアと書いたので、タイやベトナムあたりを想像したかもしれませんが、この経営者が目を付けたのはカンボジアです。
国内のドライバーが足りないから、海外のドライバーを確保する。それもまだ同業者が目を付けていない国を見つけ出して先手を打つ。この姿勢が大切です。
一人で考えられる対策には限界があるので、日頃から他の業種も含めた経営者たちとネットワークを作っておくことも重要です。同業種の経営者ネットワークだけでは発想が似通いがちなので、他業種の人とも交流することも心がけるといいでしょう。
まとめると、
・自分でコントロールできないことで悩まない。
・できることに関しては、知恵を絞って全力で対策を考えて実行する。
・視野を広く持つために他の経営者と交流して知恵を交換する。
そして、自社にも役立ちそうなヒントを得たら取り入れることを心がけていれば、外部環境に振り回されない経営ができるはずです。