若者のチャレンジこそが
地方を元気にしていく
ワークショップでそんな話をすると、「B地域のようになりたい」という意見がたくさん出てきます。そのためには何をすればいいか。地域で生活する人が自分の生活を見直し、購入物がどこで作られているものなのかを確認することが大切になります。自分が払った1万円が、何割くらい地域で使われそうなのかを意識しながら店を選ぶことです。
あるいは、店主も交えて地元経済について学び、なるべく地域内で貨幣が循環するような仕入れに変えていくことです。また、ジェイン・ジェイコブズ(編集部注/作家、社会運動家)が「輸入置換」(編集部注/これまで他県や外部から買っていた材料や原料を、自分たちの地域で作るように切り替え、地域内でお金を回す取り組み)で指摘したように、地域外から仕入れていたものを地域内で作ることができるようにすることです(注7)。
そして、こうした価値観を共有する仲間を増やすことです。もし地域の若者が起業したいというのなら、価値観を共有しつつ全力で応援すべきなのです。
私は、ワークショップの参加者に、「地域の貨幣が漏れてしまうこと」、「地産地消がそれを防ぐ可能性を持つこと」という話を伝え、「全国チェーンの店が欲しい」という声が少なくなってきたら、「この地域で起業しようとする若者と地域経済循環の考え方を共有し、その人を応援してください」と伝えるようにしています。
(注7)シューマッハー(編集部注/経済学者)も「農村地域に外部からのカネを注ぎ込んで公共事業を行い、それによって購買力が生まれてくるなら、その『乗数効果』が最大になるよう配慮すること。公共事業で働く人たちは、賃金を『賃金財』、つまりあらゆる種類の消費財に使ってしまおうとするものである。この賃金財を農村地域で生産できれば、公共事業で造出された購買力は消え失せずに、この地域の中で循環し、大きな雇用造出効果をもつだろう(エルンスト・ F・シューマッハー著、小島慶三ほか訳『スモール・イズ・ビューティフル』講談社学術文庫、1986、p282)」と述べています